消費増税の嵐を乗り越えた白物家電!23年ぶりの快挙とヒットを飛ばす「高額シフト」の舞台裏

日本の家庭を支える家電市場から、非常に明るいニュースが飛び込んできました。日本電機工業会が2020年1月27日に発表したデータによると、2019年の国内における白物家電の出荷額が、前年比2.7%増の2兆5108億円を記録したのです。これはなんと23年ぶりに2兆5000億円を突破する快挙であり、1997年以降で最高の数字となります。

この歴史的な大躍進の背景には、2019年10月の消費税率引き上げを前にした「駆け込み需要」がありました。事前の予測では増税前の冷え込みを懸念する声もありましたが、蓋を開けてみれば大型家電を中心に凄まじい買い替えの波が押し寄せた形です。SNS上でも「増税前にエアコンと冷蔵庫を思い切って新調した」という声が多く見られました。

特に増税直前となる2019年9月の国内出荷額は、前年の同じ月と比べて20.2%増の2385億円に達し、9月単月としての過去最高を更新しています。内訳を見るとルームエアコンが驚異の30.8%増、電気洗濯機も3%増を記録しました。こうした高額な耐久消費財への投資が、市場全体の数字を大きく押し上げたと言えるでしょう。

単に駆け込み需要に頼るだけでなく、各家電メーカーが仕掛けた「高額シフト」の戦略が見事にハマった点も見逃せません。高額シフトとは、単に製品の価格を上げるのではなく、付加価値を高めたハイエンドな機種の開発に注力する経営戦略のことです。消費者の「どうせ買うなら良いものを」という心理を巧みに捉えました。

例えば日立グローバルライフソリューションズは、洗剤の自動投入機能やスマートフォンと連動して洗剤を自動注文できる最先端のドラム式洗濯乾燥機を世に送り出しています。また、東芝ライフスタイルも「ウルトラファインバブル」と呼ばれるナノサイズの微細な泡で繊維の奥の汚れを落とし、部屋干しの嫌な臭いを抑える革新的な洗濯機を発売しました。

このようなメーカーや家電量販店の熱いアプローチにより、販売された台数の伸びを大きく超える形で出荷額が膨らんでいったのです。利便性や家事負担の軽減を追求したタイパ重視の機能は、現代の共働き世帯にとってもまさに「投資価値のある贅沢」として好意的に受け入れられた実態がSNSの口コミからも伺えます。

しかし、お祭り騒ぎの反動は確実にやってきました。2019年10月以降は大型家電を中心に売り上げが落ち込んでおり、2019年12月の白物家電の出荷額は前年同月比6.7%減の2197億円と、3カ月連続のマイナスを記録しています。ルームエアコンも同様に落ち込んでおり、市場は一時的な冷え込みを見せているのが現状です。

こうした冷え込みの中で、独自の輝きを放ち続けているのが「小物家電」の存在です。ヘアドライヤーやトースターといった製品は、増税後の10月以降も前年を上回る実績をキープしています。特にトースターは2019年12月に出荷額が5.2%増の16億円に達し、5カ月連続でプラス成長という素晴らしい健闘ぶりを見せました。

この小物家電ブームを牽引しているのが、これまでにない斬新な発想を持つ新興メーカーです。代表格であるバルミューダは、パンの水分と香りを独自の技術で閉じ込めるスチーム機能付きのトースターを展開しています。2万円を超える高価格帯でありながら、その美しいデザインと圧倒的な美味しさで多くのファンを魅了しました。

大手メーカーが多機能さに走る一方で、新興メーカーは「単一の機能を極限まで高める」というエッジの効いたアプローチで成功を収めています。変化の激しい現代において、消費者が本当に求めているのは、暮らしの質を豊かにしてくれるストーリー性です。大手企業にとっても、この柔軟なモノづくりは大いに学ぶべきところがあるでしょう。

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