世界中を震撼させている新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い、医療現場を支える最前線で異変が起きています。マレーシアに本社を置く世界的なゴム手袋製造の最大手「トップ・グローブ」は、2020年1月30日までに中国からの注文が通常時の2倍に跳ね上がっていることを公表しました。感染源とされる湖北省武漢市を中心に危機感が高まる中、防護服に並ぶ必須アイテムとして需要が爆発している模様です。
この急激な需要の高まりを受け、同社の株価は2019年12月末の時点と比較して2割以上も値上がりする展開を見せています。SNS上では「マスクだけでなく医療用手袋の不足も深刻になるのでは」「こうしたインフラ企業が世界を支えている」といった、驚きと今後の供給を懸念する声が数多く飛び交っていました。人々の衛生に対する意識は、今まさに世界規模で劇的な変化を迎えていると言えるでしょう。
特に中国や香港、台湾といったアジアの医療機関からの発注が急増しており、同社は嬉しい悲鳴を上げています。元々、2020年8月期における通期の販売量は前年比で10%から15%ほど増加すると見込まれていました。しかし、今回の新型肺炎の流行によって、従来の予測を大幅に上回ることは確実視されています。突如として訪れたこの難局に対し、企業側も迅速な増産体制の構築に乗り出しました。
現在は年間705億枚を誇る圧倒的な生産能力を、2021年12月末までに約3割も引き上げ、914億枚にまで拡大する野心的な計画を進めています。ここでいう生産能力とは、工場がフル稼働した際に製造できる製品の最大数量のことです。これほどの規模でインフラを拡張することは、感染症との長期戦を見据えた企業の覚悟の表れでもあり、国際社会の安心材料になるのではないでしょうか。
これまでトップ・グローブ製のゴム手袋は、北米や西欧、そして日本といった先進国市場への出荷が全体の5割以上を占めていました。日本を除いたアジア市場の売上比率は約14%と、これまでは決して高い水準ではなかったのです。だからこそ、今回の事態を契機として中国における衛生対策への関心が高まれば、市場がさらに巨大化する余地は極めて大きいと予測されます。
一刻も早い事態の終息を願うばかりですが、医療従事者の安全を守るゴム手袋の安定供給は、二次感染を防ぐための最優先課題です。増産には相応の時間がかかるものの、こうしたグローバル企業の迅速な経営判断が、パンデミックに立ち向かう世界のアキレス腱を支えています。今後は単なる一企業の成長にとどまらず、人類の健康を守る国際的なセーフティネットとしての役割に大きな期待が寄せられます。
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