東日本大震災の爪痕が今も残る東北地方において、女川原子力発電所2号機の再稼働をめぐる議論が緊迫感を増しています。2020年1月18日、宮城県美里町の相沢清一町長はインタビューに応じ、現在の安全対策や避難計画に対して強い危機感を表明しました。原子力規制委員会による審査申請から6年が経過し、議論は進んでいるように見えます。しかし相沢町長は、そもそも人間が制御できないリスクをはらむ原子力発電そのものに対して、断固として反対する姿勢を崩していません。
相沢町長が再稼働に反対する背景には、福島第一原発事故で突きつけられた過酷な現実があります。一度事故が起きれば、放射性物質が風向き次第で広範囲に拡散することは歴史が証明しているでしょう。そのため美里町では、原発から30キロメートル圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)だけでなく、全町民が避難する計画を策定しています。町民の安全を守るため、奥羽山脈を越えて山形県最上地方まで逃れるという、非常に広大な移動を想定した異例の計画です。
インターネット上では、この徹底した全町避難方針に対して多くの共感の声が寄せられています。SNSでは「30キロという線引きだけで安全と言い切れないのは当然だ」「広域避難の現実味を真剣に考えている首長を支持したい」といった投稿が目立ち、住民の命を最優先に考える姿勢が評価されているようです。しかし一方で、これほど大規模な移動を実際にシミュレーションした際の実効性について、不安を隠せない読者も少なくありません。
現在の避難計画には、クリアすべき深刻な課題が山積みとなっています。相沢町長は、避難時に不可欠となるバスの台数確保や、自力での移動が困難な要介護者への個別対応、さらに現地を支える人員の不足を率直に認めました。原発事故と地震などの自然災害が同時に発生する「複合災害」の可能性も否定できません。実効性を高めるためには、形だけの計画に満足せず、訓練を通じて課題を一つずつ洗い出し、地道に改善を重ねるしかないのが現状です。
このような首長のリアルな葛藤に対し、SNSでは「不十分だと認め、向き合う姿こそ信頼できる」「有事の際に本当に動ける計画なのか、国も交えて議論を尽くすべきだ」という熱い議論が交わされています。私は、首長が「計画は不十分だ」と言い切る誠実さに感銘を受けると同時に、現在の避難体制には大きな懸念を抱かざるを得ません。現場のマンパワー不足を放置したまま再稼働の議論だけが先行することは、極めて危険な兆候であると考えます。
美里町をはじめとする周辺自治体は、これまで避難の実効性を高める実務的な話し合いに集中してきました。しかし、再稼働の足音がすぐそこにまで迫っている現在、相沢町長は新たな局面へと踏み出す決意を固めています。今後は、原発の重大方針を決める際に周辺自治体の同意を必要とする「事前了解」の権限を、立地自治体だけでなく周辺の市町にも拡大するよう強く求めていく方針です。命に関わる問題だからこそ、地域全体での連帯が求められています。
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