日本全国で地域のシンボルとして愛されている「お城」が、今まさに大きな転換期を迎えています。実は江戸時代から残る貴重な「現存天守」は、兵庫県の姫路城や長野県の松本城など国内にわずか12城しかありません。私たちが普段目にする多くの天守は、1960年代を中心とした昭和の築城ブームの際に、鉄筋コンクリート造りで建てられたものなのです。観光の目玉として地域を大いに盛り上げてきたこれらの建物が、半世紀を経て一斉に寿命を迎えつつあります。
SNS上でも「コンクリートのお城が耐震不足で入れなくなるのは寂しい」「どうせ建て直すなら、当時の姿をそのまま再現してほしい」といった、今後の行方に注目する声が多数寄せられていました。実際に、建物の老朽化や地震への対策をきっかけとして、伝統的な木造建築で本来の姿を蘇らせようという「木造復元構想」が各地で持ち上がっています。しかし、そこには単なる建築費用の問題だけでなく、歴史的な正確性をめぐる高いハードルが存在するようです。
見た目重視からの脱却!歴史のリアルを伝える城郭全体の復元へ
昭和の再建期には、集客を最優先するあまり、かつて天守が存在しなかった場所に「模擬天守」を作ったり、本来のデザインとは異なる外観で建築したりする事例も少なくありませんでした。こうした状況に対して、城郭考古学の専門家である奈良大学の千田嘉博教授は、天守だけに執着するのではなく、堀や石垣といった城全体を総合的に復元することこそが、本来の魅力を引き出す鍵になると提言しています。
ここでいう「城郭」とは、天守閣だけでなく防御陣地としての敷地全体を指す専門用語です。文化財としての本当の価値を見つめ直す動きは、今後の観光産業にとっても大きなプラスになるでしょう。単に映える建物を造るのではなく、歴史の息吹を肌で感じられる空間そのものを再生していく視点が、これからの地域振興には不可欠だと感じます。2020年1月21日現在、未来へ引き継ぐお城のあり方をめぐり、全国の自治体が模索を続けています。
コメント