欧州経済の要・ドイツ製造業に異変?「クルツアルバイト」急増の裏側と今後の展望

欧州の経済を力強く牽引してきたドイツの製造業に、いま黄色信号が灯っています。2020年1月31日現在、米中貿易摩擦という世界的な波の影響を受け、ドイツが誇る自動車産業や産業機械分野で輸出が大きく鈍化しているのです。この状況を受け、多くの企業が生産調整という苦渋の決断を迫られています。SNS上でも「ドイツの自動車産業は大丈夫なのか」「この先、欧州全体の景気が冷え込むのではないか」といった不安の声が広がっており、事態の深刻さが浮き彫りになっています。

かつてない勢いで広がっているのが「クルツアルバイト(時短勤務)」です。これは、生産ラインの調整が必要になった際、従業員の労働時間を減らすことで雇用そのものを維持するドイツ独自の制度です。給与は減少してしまいますが、その一部を国や州政府が補填する仕組みとなっており、大胆な人員削減を避けるための防波堤として機能しています。まさに、失業という最悪のシナリオを回避するための知恵と言えるでしょう。

スポンサーリンク

止まらない受注減と拡大する時短の波

ドイツ最大の産別労組であるIGメタルのヨルグ・ホフマン会長は、2020年1月24日の記者会見で、この半年間だけで自動車業界から3万人以上の期間工の職が失われたと強い警戒感を示しました。実際に、自動車部品大手のボッシュ・レックスロス社では、2019年の途中から海外からの受注が急激に減少。これに対応するため、同社は2019年11月に400人、さらに2020年1月には220人を対象に、週35時間の労働時間を10%削減する措置を講じました。

同様の動きは各地で顕著です。ザールラント州のザールグミ社でも、2020年1月に労働者代表との合意を経て、今後1年間で約1000人の勤務時間を短縮することを決定しました。大手企業であるコンチネンタルや工作機械のトルンプなども相次いで同様の措置を導入しており、この波はもはや一部の企業に留まらない状況です。

独ifo経済研究所の推計によれば、2019年12月時点で時短勤務を導入した企業の割合は8.4%に達しました。これは、かつてのギリシャ危機以来となる高い水準です。さらに衝撃的なのは、この比率が2020年3月までには約15%にまで跳ね上がる可能性があるという予測です。2020年1月14日には、機械工業連盟などが政府に対して支援の拡充を強く求めました。私個人としては、この制度が雇用を守る最後の砦として機能し続けることを切に願うと同時に、ドイツが再び技術革新と輸出競争力を取り戻せるか、その底力が試されている局面だと感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました