2019年6月12日現在、ドイツ最大の金融機関であるドイツ銀行が、国内大手であるコメルツ銀行との統合交渉を断念し、その後の行方が国内外から注目を集めています。**「再編の可能性」**という噂はくすぶり続けているものの、実際には非常に大きな壁が立ちはだかっている状況にあると言えるでしょう。業界内では、この動向について「ドイツ銀行のプライドと現実がぶつかり合った結果ではないか」といった見方が強まっています。
統合交渉が進められていた2019年4月頃、ドイツ銀行の内部では、実は多くの不満が渦巻いていたことが取材から明らかになっています。**「格下」と見なされていたコメルツ銀行との統合案に対し、「うまくいくはずがない」「相手がコメルツ銀行なのは残念だ」といった、いわゆる「恨み節」が複数の行員から聞かれていました。これは、かつてドイツ経済の産業界をヒトとカネで牽引し、支配してきたという強い「プライド」を持つドイツ銀行の社員にとって、「自分たちよりも規模が小さい、いわば“格下”**の銀行と一緒になる」という事実が、到底受け入れがたいものだったことを物語っています。
結果として統合交渉は破談となりましたが、これは多くのドイツ銀行社員にとって、ひとまず安堵のニュースとして受け止められたようです。もし統合が実現していれば避けられなかったとみられるリストラ、つまり大規模な人員削減が見送られたためです。しかしながら、これで未来への展望が拓けたわけではありません。ゼービング最高経営責任者(CEO)は将来的な再編の可能性を否定してはいませんが、国内の統合相手を探すのは、もはや極めて困難な状況にあると見てよいでしょう。
ここで、ドイツの金融業界の特殊な構造を理解しておく必要があります。日本の金融機関と同様に、ドイツの銀行は業態によって明確にグループ分けがなされています。具体的には、州政府の財政を支援する**「州立銀行グループ」、個人や中小企業向けの金融サービスを担う「協同組織グループ」、そしてドイツ銀行が含まれる「民間銀行グループ」**などです。金融当局筋は「業態の垣根を越えた再編は現実的に考えられない」と明言しています。となると、統合相手は「民間銀行グループ」から探さざるを得ませんが、かつて大手の一角を占めていたドレスナー銀行はすでに経営が傾き姿を消しており、コメルツ銀行以外にめぼしい相手は国内には残っていないのが現状です。
そうなると、次の選択肢は国境を越えた**「国際再編」となりますが、こちらも大きな難関があります。誰もが低収益に苦しむドイツ銀行との連携に二の足を踏んでしまうからです。一時はスイスの金融大手であるUBSグループとの統合の可能性が噂されましたが、これも現在は暗礁に乗り上げたと伝えられています。ドイツのショルツ財務相は、国際再編そのものには容認の姿勢を示していますが、一方で「ドイツ銀行が吸収合併**される」といった、立場の弱い形での再編には難色を示すだろうと見られています。これは、ドイツを代表する金融機関としての威信を守りたいという、国としての思いがあるからでしょう。
現時点でのドイツ銀行の株価は低迷を続けており、底入れの兆しすら見えていません。この状況を受け、経営陣の一部は今夏にも退任するのではないかという憶測まで飛び交っています。しかし、こうした厳しい状況下でも、ドイツ銀行の経営陣は次の戦略を描いているとされています。まずは採算の取れない不採算部門を縮小し、市場からの**「信認」**、すなわち信頼を回復することに注力する構えです。そして、その後にドイツ銀行が主導権を握る形で国際再編に乗り出すという算段でしょう。これは数年がかりの大がかりな計画となる見通しです。SNSなどでの反響を見ても、「ドイツ銀行の規模を考えると、再編は不可避だが、どこが引き受けるのか」「まずは収益改善が先決だ」といった、厳しい意見が多く見受けられ、市場の視線は極めて冷静です。ドイツ銀行が、この難局をどのように乗り越えていくのか、世界の金融市場がその動向を固唾をのんで見守っていると言えるでしょう。
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