2020年2月4日、日本の産業界に大きな衝撃が走りました。世界的なモーターメーカーである日本電産が、日産自動車で副最高執行責任者(COO)を務めた関潤氏を、4月1日付で新社長に迎えると発表したのです。1973年の創業以来、強烈なリーダーシップで同社を牽引してきた永守重信会長にとって、長年の課題であった後継者問題。今回、ついに「絶好の人材」とまで評するプロフェッショナルを招き入れる決断を下しました。
そもそもCOOとは、最高執行責任者の略で、CEO(最高経営責任者)が掲げる経営戦略を現場で実行に移す重要な役割を指します。いわば、会社を動かす心臓部を担うポジションです。これまで吉本浩之氏が社長を務めてきましたが、海外事業の立て直しなどにおいて期待された成果を十分に発揮できず、今回の交代に至りました。吉本氏は4月1日から代表権を持つ副社長に就任し、経営体制を刷新することで、新たな成長フェーズへの移行を目指します。
「ものづくりのプロ」が挑む10兆円への道のり
なぜ永守会長は、これほどまでに熱烈なオファーを出したのでしょうか。その理由は、日本電産が社運をかけて注力している「電気自動車(EV)用駆動モーター」事業にあります。関氏は日産で20年以上にわたりエンジン生産の現場を支え続けてきた、真の「ものづくりのプロ」です。自動車産業がEVへと大きく舵を切る中で、高度な技術と生産管理能力を併せ持つ関氏の知見が不可欠だと判断されたのです。
永守会長から関氏へ贈られた「だまされたつもりでこい、必ず幸せにしてやる」という熱い誘い文句は、多くのメディアやSNSでも大きな話題となりました。ネット上では「永守会長の熱意がすごい」「関氏が日本電産でどんな化学反応を起こすのか楽しみだ」といった期待の声が多く上がっています。経営トップの強い意志が、優秀な人材の心を動かした瞬間と言えるでしょう。
日本電産が掲げる目標は極めて野心的です。2019年3月期には約3000億円規模だった車載事業の売上高を、2021年3月期までに最大で1兆円へと引き上げる計画です。さらにその先、2031年3月期には全社で売上高10兆円という巨大企業を目指しています。関氏はこの高い壁に対し、「全てを注ぎ込んで道を作りたい」と力強く決意を語りました。
今回の人事は、単なる社長交代ではありません。自動車産業の転換期を捉え、世界市場でさらなる飛躍を誓う日本電産の覚悟そのものです。防衛大学校を卒業後、日産で米国や中国といった厳しい海外の現場を渡り歩いてきた関氏の手腕が、日本電産という巨大組織でどう花開くのか。私たちもその行方をしっかりと見守っていきたいものです。非常にエネルギッシュな二人がタッグを組むことで、日本の製造業に再び活気が戻ることを期待せざるを得ません。
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