なぜ金価格は高騰し続けるのか?「トランプリスク」が変えた投資の常識

2020年1月20日、米トランプ政権が誕生してから丸3年が経過しました。この期間、世界の金融市場でひと際その存在感を強めているのが「金(ゴールド)」です。ニューヨーク先物市場において、金価格は1トロイオンスあたり1613ドルという、過去7年間で最高値を記録しました。この驚異的な上昇を支えているのは、他でもないドナルド・トランプ米大統領の政策や言動に起因する「トランプリスク」であると、市場では強く認識されています。

かつて、金相場は中東情勢などの地政学リスクに敏感に反応するものでした。しかし、2018年5月のイラン核合意離脱や、2019年9月のサウジアラビア石油施設攻撃の際、金価格の反応は限定的でした。市場のトレンドを根本から変えたのは、トランプ氏による予測不能な政策運営です。専門家からは、トランプ氏という存在そのものが、有事を創り出す「有事製造機」として機能し、相場を押し上げているとの見方も根強くあります。

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不確実性が生む「安全資産」としての金

金価格の上昇を読み解く鍵となるのが「経済政策不確実性指数(EPU指数)」との高い相関性です。これはスタンフォード大学などの研究者が算出している指標で、経済政策の先行き不透明さを数値化したものです。この指数が上昇するほど、投資家は「安全資産」である金を求めます。トランプ氏が対中強硬姿勢を強めた2018年春以降、この指数は跳ね上がり、それに呼応するように金価格も上昇し続けてきました。

この動きは、各国の中央銀行の姿勢にも明確に表れています。例えば中国は、2018年春以降に金準備を100トン以上も積み増しました。また、米国による経済制裁を受けるロシアも、2017年初頭から約600トンもの金を購入し、金保有量は2000トンを突破しています。両国に共通しているのは、米国債のようなドル建て資産を手放し、国家の資産を「無国籍通貨」である金へシフトさせているという点です。

終わらない警戒感とこれからの金相場

SNS上の投資家コミュニティでも、「トランプ氏がツイートするたびに相場が動くため、金を手放せない」といった声が散見されます。2020年1月中旬以降、米中合意や中東リスクの後退により、金融市場は一時的な落ち着きを取り戻しました。しかし、株価が好調な局面にあっても、金価格は依然として1トロイオンス1580ドル前後という高水準を維持しています。

私個人の見解としては、この異常とも言える高止まりは、市場が11月に控えた米大統領選を非常に警戒している証左でしょう。支持率回復を目指すトランプ氏が、今後どのような「突発的な一歩」を踏み出すか予測がつきません。この終わりのない「トランプリスク」がある限り、投資家にとって金は、どんな嵐にも耐えうる最も信頼できる防波堤として、今後も重要なポートフォリオの一部であり続けるはずです。

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