2月14日のバレンタインデーといえば、日本では女性から男性へチョコレートをプレゼントする文化が深く根付いています。しかし世界の目を向けてみると、欧米では男性から女性へ情熱的な赤いバラなどの花束を贈ることが一般的な習慣となっているのをご存知でしょうか。近年は日本国内でも、この素敵な文化を広めようとする動きが活発化しており、密かな盛り上がりを見せています。
業界団体である花の国日本協議会は、2011年から「フラワーバレンタイン」というキャンペーンを展開し、男性から大切な人へ花を贈るカルチャーの普及に尽力しています。同団体が2019年に行ったインターネット調査では、518人の男性のうち6.4%が「実際にバレンタインに花を贈った」と回答しました。まだまだ全体の割合としては少数のようですが、SNS上では「花をもらって本当に嬉しかった」「夫からサプライズでバラが届いた」といった喜びの投稿が溢れており、確実に好意的な反響が広がっています。
この流行を牽引しているのが、人気生花店チェーンの「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションです。同店における2月14日の1店舗あたりの平均売上高は毎年右肩上がりで推移しており、2019年には前年比で2割も増加したというから驚きを隠せません。さらに注目すべきは、バレンタイン当日に店舗を訪れる男性客の割合です。データを取り始めた2012年は29%に留まっていましたが、2019年にはなんと40%を超える大盛況となっています。
男性が1人で花屋に入るのは少し照れくさいものですが、バレンタインの定着によってその心理的ハードルは下がっているのでしょう。私個人の意見としても、お菓子だけでなく形や香りに残る花束のプレゼントは、日常を彩る素晴らしいサプライズだと確信しています。日本の男性たちが気恥ずかしさを捨てて、感謝や愛をまっすぐに表現できるこのトレンドは、非常に好ましく、今後さらに応援していきたい文化です。
花き市場のリアルな現状と今後の展望
その一方で、実際の卸売市場である花き市場(かきしじょう、切花や鉢物などの鑑賞用植物を取引する専門市場のこと)の反応は、まだ少し冷ややかなのが現状です。日本最大級の市場である大田花きのデータによると、2020年2月上旬における赤いバラの平均卸値は1本あたり80円から100円前後を推移しています。これは同年1月の水準からほぼ横ばいであり、前年の同じ時期と比較しても5%から10%ほど安価な価格設定となっているのです。
同じ季節のイベントでも、5月の「母の日」が近づくとカーネーションの平均卸値は1本60円から80円と、普段の1.5倍から2倍近くまで一気に跳ね上がります。これに比べると、バレンタイン需要が原因でバラの市場価格が急騰するような現象は、まだ確認されていません。卸値(おろしね、生産者から買い取って小売店へ転売する際の業者間価格のこと)が上がらないということは、市場全体を巻き込むほどの爆発的な買い占めには至っていない証拠です。
小売店での男性客の増加というポジティブな変化に対して、市場価格がまだ追いついていないというギャップは非常に興味深い現象といえます。しかし、これは見方を変えれば、消費者にとっては「今なら良質なバラを手頃な価格で手に入れられるチャンス」でもあるわけです。バレンタインにバラの価格が高騰する時代が到来する前に、先んじてこのスマートな習慣を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
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