国産ナフサ価格が2四半期ぶり上昇!プラスチック製品値上げの足音と新型肺炎がもたらす不透明な経済の行方

私たちの生活に欠かせないプラスチック製品の未来を左右する、重要なニュースが飛び込んできました。石油化学製品の土台となる「国産ナフサ」の価格が、ここにきて再び上昇に転じたのです。ナフサとは原油を蒸留して精製される粗製ガソリンのことで、ポリエチレンなどの合成樹脂を作るための最も基本的な原材料を指します。2019年10月から2019年12月までの期間におけるナフサの1キロリットルあたりの価格は4万1300円となり、前の3ヶ月間と比較して1100円、率にして2.7%の値上がりを記録しました。

この上昇劇は、実は2四半期ぶりの出来事となります。ネット上では「ついに原材料が上がったか」「身近なプラ製品や梱包材が値上げされたら家計に響きそう」といった、今後の生活コストへの影響を心配する声が目立っている状況です。それもそのはずで、国内の化学メーカー各社はすでに、このコスト増を製品価格へ反映させるべく、大口の取引先との値上げ交渉に乗り出しています。私たちが普段何気なく使っているレジ袋や容器などの価格にも、じわりと波及していく可能性が極めて高いといえるでしょう。

では、なぜ今になってナフサの価格が上がっているのでしょうか。日本国内で消費されるナフサはその過半数を海外からの輸入に頼っているため、国内価格は世界の貿易価格と連動する仕組みになっています。大きな引き金となったのが、2019年9月14日に発生したサウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃です。この事件によって中東からの供給不安が一気に高まり、アジア市場全体でナフサの需給が逼迫しました。その結果、随時契約で取引されるスポット価格が、昨年末にかけて大きく押し上げられたのです。

スポンサーリンク

行く手を阻む新型肺炎の影と長期化する値上げ交渉の行方

このままいくと、2020年1月から2020年3月までの期間には、ナフサ価格は4万円台の半ばまでさらに上値を伸ばすとの予測が有力視されています。これを受けて、プラスチックの代表格であるポリエチレンやポリプロピレンの製造を担う化学各社は、強い決意で値上げへの舵を切りました。しかし、ここで世界経済を揺るがす巨大な伏兵が現れます。中国を中心に猛威を振るい始めている新型肺炎の感染拡大です。この未曾有の事態が、工場の稼働停止や物流の麻痺を引き起こし、経済活動を大きく停滞させています。

SNSでは「新型肺炎の影響で原油の需要自体が減るのでは」という鋭い指摘も飛び交っていますが、まさにその通りです。市場では景気減速への警戒感が急浮上しており、アジアのスポット価格は2020年2月に入ってから、1トンあたり500ドルを割り込む異例の安値水準が続いています。原材料の高騰を理由に値上げを勝ち取りたい化学メーカーと、世界的な需要低迷を背景に拒否したい需要家との間で、駆け引きが激化するのは避けられません。改定の幅や時期を巡る交渉は、予想以上に泥沼化していくと考えられます。

私は、今回のナフサ価格の動向は、単なる一産業のコスト問題にとどまらない、世界経済の縮図であると確信しています。地政学的リスクによる突発的な高騰と、感染症という予測不能な要因による急落が同時に押し寄せる現在の状況は、企業にとって極めて舵取りが難しい局面です。化学各社は、目先の価格交渉に一喜一憂するだけでなく、輸入依存からの脱却や、環境配慮型素材へのシフトといった構造改革を急ぐべきでしょう。不安定な化石燃料に頼り続けるリスクを、今一度見つめ直す大きな転換点です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました