半導体市場が力強い回復の兆しを見せる中、業界の勢図を塗り替える大きな動きが始まっています。米ストレージ大手の日本法人であるウエスタンデジタルは、記憶素子を縦に112層積み上げた革新的な3次元フラッシュメモリーの量産を2020年後半に開始する計画を明らかにしました。フラッシュメモリーとは、電源を切ってもデータが消えない記憶媒体のことです。この最先端技術の投入により、同社は次世代のデジタル社会における主導権を確実に握ろうとしています。
この発表に対してSNS上では、日本の製造業の未来を占う一大プロジェクトとして大きな注目が集まっています。ネット上では「キオクシアとのタッグによる巻き返しに期待したい」といった熱い声援が寄せられる一方で、「積層数の多さだけで勝負が決まるわけではない」という冷静な技術的分析を行うファンの書き込みも見られました。日米連合がもたらす新しい半導体の可能性に、多くのユーザーが胸を躍らせている様子がリアルタイムで伝わってきます。
圧倒的な性能向上と歩留まり確保の戦略
共同開発を行ったのは、旧東芝メモリとして知られる強力なパートナーのキオクシアです。今回の112層品は、ウエハーと呼ばれる半導体の材料となる円板1枚あたりの記憶容量を40%も高めることに成功しました。さらに、処理性能を示すパフォーマンスも50%向上するという驚異的な進化を遂げています。競合他社がこれ以上の積層数を打ち出してくる可能性もありますが、同社は目先の数字に惑わされることはありません。
同社が何よりも最優先しているのは、歩留まりの確保です。歩留まりとは、生産された製品のうち良品が占める割合のことであり、コストや安定供給に直結する極めて重要な指標となります。どれほど層数が多くても、不良品ばかりでは市場に製品を届けることはできません。使いやすさや製造コスト、そして良品率を総合的に考慮した現実的なモノづくりこそが、結果として顧客に最大の利益をもたらすと確信しているのでしょう。
5GとGAFAの需要を捉える二大工場の稼働
この一大計画を支える生産拠点として、岩手県にある北上工場が2020年後半にかけて本格的に立ち上がる予定です。現在は小規模な生産にとどまっていますが、市場の需要と供給のバランスを慎重に見極めながら、計画通りに生産量を拡大していく方針を示しています。その後のさらなる増産については、三重県にある四日市工場も含めて、相棒であるキオクシア側と密接な議論を重ねながら進めていく模様です。
こうした強気な投資の背景には、次世代通信規格「5G」の本格的な普及があります。5Gはあらゆる産業の仕組みを根底から変える原動力であり、これに伴って巨大なデータセンターの需要が爆発的に伸びる見通しです。市場をけん引するのは、世界的なIT巨人であるGAFAですが、それに対抗して成長を目指す企業の需要も旺盛です。ウエスタンデジタルは、この巨大な波を確実に捉える構えを見せています。
新型肺炎への備えと経営陣の新たな門出
一方で、足元では新型肺炎の感染拡大という世界的な不安材料も浮上しています。同社は中国の上海に製品の組み立てなどを行う後工程の工場を構えていますが、出張を制限するなどの対策を講じて事態に備えています。現地では最低限の人数で稼働を維持しており、現在のところ製品の供給面に大きな影響が出ないよう万全の体制を敷いているため、過度な心配は不要と言えるでしょう。
さらに、両社はともにトップ交代という変革の季節を迎えています。ウエスタンデジタルの礎を築いたスティーブ・ミリガン最高経営責任者が退任を発表したほか、キオクシアでも病気療養中だった成毛康雄氏に代わり、早坂伸夫氏が新社長に昇格しました。激動の半導体市況を生き抜くために、新体制となった両社がどのようなリーダーシップを発揮し、強固な協力関係を維持していくのかに世界中の視線が注がれています。
編集部の視点:2社連合が直面するアキレス腱と未来へのアクセル
ここでメディアとしての私見を述べさせていただければ、この2社連合の行く末は決して平坦な道ばかりではありません。ウエスタンデジタルとキオクシアは、王座に君臨する韓国のサムスン電子に対抗できる世界屈指の生産規模を誇ります。しかし、直近の2019年10月から12月期の決算では、市況の悪化や停電トラブルが響き、1億3900万ドルの最終赤字を計上するという苦い経験を味わいました。
同社はハードディスク事業を持っていますが、利益率が高いとされる一時記憶用のDRAM事業を有していません。そのため、フラッシュメモリーの価格変動に業績が大きく左右されやすいという構造的な弱み、いわば「アキレス腱」を抱えているのが現状です。再び巨額の投資を再開したサムスン電子に対し、市況を壊さない範囲でいかにスピード感を持って対抗できるか、キオクシアの上場時期も含めた絶妙なアクセルワークが試されています。
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