東芝の営業利益8倍でも漂う緊迫感!半導体不振と架空取引発覚で「必達目標」に赤信号?

東芝が発表した決算は営業利益が前年同期の約8倍という驚異的な数字を叩き出し、株式市場でも一時、株価が4%超も急騰するお祭り騒ぎとなりました。SNS上でも「東芝大復活か!?」と歓喜の声が上がりましたが、プロの投資家たちの視線は冷ややかです。実は、中身を紐解くと経営再建への道筋には暗雲が立ち込めています。

今回の利益急増を支えたのは、インフラ部門などによる徹底した採算重視の姿勢です。しかし、本来の成長エンジンであるはずの半導体を含むデバイス部門は、受注不振により減益を余儀なくされました。不採算のパソコン事業売却といった構造改革を進めた結果、売上高は前年同期比で7%減少の2兆458億円を記録しています。

さらに、アメリカの液化天然ガス(LNG)事業から撤退した際の売却損などが響き、最終的な純損益は1456億円の赤字へと転落しました。前年同期の1兆216億円という巨額の黒字から一転したこの結果に、ネット上では「利益8倍の裏に潜む赤字の衝撃」「まだまだ体質改善は遠い」と不安視する投稿が相次いでいます。

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バッファー消滅と中国リスクの直撃

東芝を率いる車谷暢昭会長兼最高経営責任者は、今期の営業利益目標である1400億円を絶対に達成すべき「必達目標」として掲げてきました。不測の事態に備えて、あらかじめ300億円のバッファー、つまり予期せぬ損失を吸収するための「ゆとり分の予算」を用意していましたが、度重なる下方修正でこの備えは完全に底を突いています。

半導体部門の下方修正は、中期経営計画を策定した2018年11月以降で実に4回目を数え、利益水準は半減しました。追い打ちをかけるように、平田政善最高財務責任者は中国市場の低迷長期化に言及しています。さらに感染症の拡大に伴う新型肺炎の流行が、今後の中国向け売上高の大きな下振れリスクとして懸念されています。

東芝のビジネスモデルは、主要な顧客である官公庁や水道などの社会インフラ案件が年度末に集中するため、1月から3月の第4四半期に利益が偏りやすい特徴があります。この3ヶ月間で775億円もの利益を積み上げなければ目標に届かない計算ですが、バッファーを失った現在の状況では、達成への確度は極めて低いと言わざるを得ません。

経営陣へのプレッシャーと信頼回復への課題

株主の約7割を海外投資家が占める東芝にとって、目標未達は死活問題です。車谷会長は就任当初、手腕を疑問視され株主総会での賛成率が低迷した過去があります。その後、社外取締役を大幅に増やすことで信頼を回復したものの、もし今回の「必達」公約を破るようなことがあれば、再びリーダーシップに対する求心力が急速に衰えるでしょう。

追い打ちをかけるように、子会社の東芝ITサービスなどで、2015年から2019年にかけて累計435億円もの売上高を水増ししていた架空取引が発覚しました。これは実体のない商品の売買を書類上だけで繰り返す「循環取引」と呼ばれる不正行為です。東芝は215億円のマイナス影響を決算に織り込み、自動不正検知システムの開発に乗り出します。

筆者の視点として、今回の決算は東芝の根深い病理を浮き彫りにしたと感じます。数字上の営業利益8倍という華々しさに惑わされてはいけません。本業の半導体の競争力不足と、ガバナンスの緩さを露呈した循環取引の発生は、信頼回復への足かせです。5年後を見据えた高い成長目標の達成には、小手先のコスト削減ではない真の変革が必要です。

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