自動車の走りを支える「駆動系部品」の大手メーカーであるユニバンスが、苦境に立たされています。同社は2020年2月14日、2020年3月期の連結最終損益が19億円の赤字に転落する見通しだと公表しました。前年度は9億3500万円の黒字を確保していただけに、今回の下方修正は業界内外に大きな衝撃を与えています。最終赤字の計上は3期ぶりとなり、国内外の市場環境が急速に悪化している現実が浮き彫りになりました。
業績悪化の主な要因は、タイや日本国内にある主要拠点での売上不振です。さらに、操業度が落ちても削ることが難しい人件費などの「固定費」が、同社の経営を大きく圧迫しています。SNS上でもこのニュースは注目を集めており、「自動車需要の冷え込みが現場に直撃している」「サプライチェーンの維持は本当に大変だ」といった、日本のものづくり産業の先行きを不安視する声が数多く上がっていました。
新型肺炎がもたらすサプライチェーンの危機と今後の展望
ここで注目すべきは、今回の赤字見通しに「新型肺炎」の感染拡大による悪影響が含まれていない点でしょう。ユニバンスは、部品調達の停滞から一時的に生産ラインを止める決断をした日産自動車の九州工場へ製品を納入しています。そのため、今回の下方修正とは別次元の危機が、すでに目の前に迫っているのです。同社も、2020年4月以降のビジネスに深刻な影響が出る恐れがあると、強い警戒感を示しています。
ちなみに駆動系部品とは、エンジンのパワーをタイヤに伝える「トランスミッション」などを指す、車の命とも言える重要パーツです。筆者は、こうした基幹部品を支える企業の危機こそ、日本の自動車産業全体が直面する構造的な課題を象徴していると考えます。一刻も早い調達網の立て直しと、固定費の最適化が急務です。同日発表の2019年4月から2019年12月までの売上高も前年比減となっており、今後の巻き返しに期待がかかります。
コメント