【岡山のバス論争】両備グループの訴えは再び棄却!低運賃「めぐりん」との消耗戦と地方交通の未来

岡山市内で激化している「バス論争」の着地点が、未だに見通せない状況です。競合路線の新規参入における認可の不備を訴え、国に取り消しを求めていた両備グループ(岡山市)の控訴審判決が2020年2月6日に東京高裁でありました。菅野雅之裁判長は、原告としての資格がないという判断から訴えを棄却。これにより、両者のバスがしのぎを削る激しい消耗戦は、今後も継続していく様相を呈しています。

事の発端は、八晃運輸(岡山市)が運行する低運賃バス「めぐりん益野線」が、2018年4月27日に運行を開始したことです。この路線は岡山市の中心部と東部を結ぶ両備バスの「西大寺線」と区間がほぼ重複しており、運賃は4割ほど安く設定されました。平日の日中は両者を合わせると1時間に10本ほど、朝の通勤時間帯には20本近くのバスが走る超過密状態となっています。

SNS上では、この事態に対してユーザーから様々な声が上がっています。「運賃が安いのは利用者として本当にありがたい」と歓迎する意見がある一方で、「このままだと過疎地域の路線が全滅してしまうのではないか」と心配する声も少なくありません。利便性と地域維持の狭間で、多くの住民が揺れ動いている様子が窺えます。

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「おいしいとこ取り」への反発と赤字路線の危機

両備グループの小嶋光信代表は、今回の新規参入を「クリームスキミング」であると強く非難してきました。これはマーケティングや経済の用語で、利益の出やすい美味しい部分だけを他社に掠め取られる行為を指します。多くのバス会社は、利用者の多い黒字路線の利益を使って、採算の取れない地方の赤字路線を維持する仕組みをとっています。そのため、美味しい部分を失うと全体の路線網が崩壊しかねないのです。

危機感を募らせた両備側は、2018年2月8日の午前中に「問題提起」として、グループ全体の4割にのぼる31路線の廃止届を提出しました。しかし同日の夕方、中国運輸局は八晃側の申請を正式に認可したのです。両備側は自治体の反発などを受けて廃止届を取り下げたものの、収益が圧迫される一因となり、2018年4月17日に国を相手取って提訴に踏み切りました。

しかし、2019年8月30日の東京地裁判決に続き、今回の控訴審でも審理そのものを行わない形での棄却となりました。小嶋代表は「地方交通の維持に重大な影響を及ぼす異常な認可について、審理を行わなかったことは誠に遺憾」と声明を発表。ただ、今国会での法改正によって地方公共交通の維持へ向けた前進が見込めるとして、上告については国の政策を総合的に見て判断する構えです。

一枚岩になれない事業者と問われる自治体の本気度

岡山市は2018年5月に公共交通網を話し合う法定協議会を設置し、2020年3月中の計画策定を目指して路線の再編方針を示しました。しかし、市内に9つの事業者が乗り入れる中、事業者たちの足並みは揃っていません。宇野自動車の宇野泰正社長は、全路線の詳細な調査を求めるなど協議会の進め方に反発し、出席を取りやめる事態にまで発展しています。

2019年10月の消費増税の際にも市中心部の初乗り運賃を100円に据え置くなど、各社は体力を削り合っています。さらに燃料費の高騰や深刻な運転手不足が追い打ちをかけているのが現状です。市内の路線バス運行区間は1994年から2016年までに24%も減少しており、2018年度は全体の8割にあたる150系統以上が赤字に陥っています。

私は、この問題は単なる企業間のシェア争いではなく、日本の地方都市が抱える移動手段の崩壊危機を先取りしていると考えます。安さという目先の利益に惑わされず、地域全体の足をどう守るかという視点が不可欠です。しがらみを越えて消耗戦に終止符を打つことができるのか、事業者と岡山市の本気度が今まさに試されています。

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