「年齢を重ねるごとに走るスピードが落ちてきた」と感じていませんか。プロトレイルランナーの鏑木毅氏が開催したセミナーでは、多くの市民ランナーが日頃の練習をゆっくりとしたジョギングだけで済ませている現状が浮き彫りになりました。健康のためなら十分ですが、さらなる成長を望む場合は工夫が必要です。SNSでも「つい楽な練習に逃げてしまう」「追い込むのが億劫」といった共感の声が多数寄せられており、年齢によるモチベーションの維持は多くのランナーにとって共通の課題と言えるでしょう。
51歳を迎えた鏑木氏自身も、以前のように路面からの反発力を活かして軽快に前へ進む感覚が薄れ、下半身が地面に沈み込むような衰えを実感しているそうです。専門的な測定によると、実は年齢を経ても筋肉の量や力自体はそれほど減少していません。真の原因は、一歩を踏み出す瞬間に地面へパワーを伝える「神経系の伝達能力」の低下にあります。つまり、眠ってしまっている筋肉を呼び覚ます刺激が必要なのです。
眠れる筋肉を呼び覚ます!短い坂道ダッシュの劇的効果
そこでおすすめしたい対策が、身近な傾斜を利用した「坂道ダッシュ」です。これは短い上り坂を力強く駆け上がるトレーニング方法を指します。自分の体重を負荷として引き上げるため、走る際に必要な地面を捉える力が自然と鍛えられるでしょう。普段行っている30分間のジョギングの最後に、50メートルほどの短いダッシュを数本追加するだけで構いません。これだけで筋肉の反応速度が劇的に向上し、効率よく走るためのフォームが整います。
また、年齢とともに変化する「リカバリー(疲労回復)」へのアプローチも重要な鍵を握ります。若い頃に比べて疲れが抜けにくいため、完全に休養してしまうと、その間にせっかくの筋力が低下するというジレンマに陥りがちです。そこで、ランニングとは異なる筋肉の動かし方を取り入れてみてください。自転車や水泳、スポーツジムのマシンを活用した有酸素運動を行うことで、走るための筋肉を休ませながら心肺機能を維持できます。
長年培ってきたスタミナは、年齢を重ねても急激に落ちることはありません。若い頃と全く同じ練習メニューに固執するのではなく、現在の自分の身体と対話しながら新しい刺激を上手に取り入れる姿勢が大切です。イタリアのマルコ・オルモ選手は、58歳という年齢で世界最高峰のトレイルランニングレース「UTMB」を制覇しました。諦めずに工夫を凝らせば、何歳からでも自己ベストを更新し、輝き続けることは十分に可能なのです。
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