ダイセルが2020年4月に大改革!市場別組織への再編で挑む次世代ビジネスとM&A迅速化の全貌

大手化学メーカーのダイセルが、大きな転換期を迎えています。同社は2020年4月1日をもって、従来の素材ごとに分かれていた組織体系をガラリと変え、市場のニーズに合わせた「市場別」の組織へと再編することを発表しました。

今回の改革は、同社にとって2002年に素材単位のカンパニー制を導入して以来、実に18年ぶりの大規模なものとなります。SNS上でも「素材発想からの脱却は現代のトレンド」「縦割りが打破されて動きが早くなりそう」と、前向きな変化を期待する声が数多く寄せられている状況です。

これまでは「セルロース」や「有機合成」といった自社の強みである素材ごとに部署が分かれていました。しかし今回の見直しにより、これらは用途に合わせた4つの戦略ビジネスユニット(SBU)へと生まれ変わります。

具体的には、化粧品や健康食品の原料を扱う「ヘルスケア」、液晶パネルや半導体の部材を担当する「スマート」、そしてエアバッグ部品をはじめとした自動車関連の「セイフティ」が新設され、ここに人員や技術が集約されます。

さらに、たばこ材料などの既存の大量生産品は「マテリアル」にまとめられ、医薬品開発用材料を手掛ける「CPI」カンパニーはそのまま継続される方針です。顧客への窓口が一本化されるため、総合的な提案や情報収集がスムーズになるでしょう。

この変革により、自社に不足している技術が明確になるため、研究開発やM&A(企業の合併・買収)を迅速に進めることが可能となります。意思決定を加速させるため、各ユニットには独自の投資権限や経営計画の策定といった大きな裁量も与えられます。

早ければ2022年3月期にはホールディングス制(持株会社制)への移行も視野に入れています。今後は、シナジー効果が薄い不採算事業からの撤退も進められる見込みであり、ダイセルの本気度がうかがえます。

これまでの素材起点によるビジネスモデルでは、目先の製品改良や販売に追われ、次世代を担う新規事業の育成が後手に回っていたという深い反省が背景にあります。実際に、2020年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標は未達となる見通しです。

現在、液晶パネル用フィルムにおいて、安価な代替素材への切り替えが進んでおり、中国勢による価格攻勢も激化しています。また、自動車業界では自動運転の進展に伴い、異業種が次々と参入する「ゲームチェンジ(競争ルールの劇的な変化)」が起きています。

このように変化が激しい時代において、顧客の目線に立った組織へ生まれ変わるダイセルの選択は非常に理にかなっています。過去の成功体験に縛られず、自らの形を柔軟に変える姿勢こそが、これからの日本の製造業を救う鍵になるのではないでしょうか。

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