東南アジアで目覚ましい経済発展を遂げているベトナムに対して、韓国企業からの熱い視線が注がれています。大手エレクトロニクスメーカーのサムスン電子は、ハノイに約200億円を投じて、2022年を目処に最先端の研究開発拠点を立ち上げることを決定しました。
現地メディアの報道によると、ここではスマートフォンをはじめとする最先端の情報技術(IT)研究が行われる予定です。最終的には地元の若きエンジニアたちを約3000人も雇用する見通しであり、まさに国を挙げた本格的な一大拠点になりそうで胸が躍ります。
こうした動きはネット上でも大きな反響を呼んでおり、SNSでは「韓国企業のスピード感には驚かされる」「これからのベトナムは単なる『世界の工場』ではなく、頭脳が集まるイノベーションの国に進化していくのだろう」といった声が上がっているのです。
多分野に広がる巨額投資の全貌
韓国勢の勢いはサムスン電子だけに留まりません。サムスン系のシステム開発企業であるサムスンSDSは、2019年07月に現地IT大手のCMCコーポレーションへ資本参加し、40億円以上を投じて株式の3割を取得しました。
さらに、韓国有数の財閥であるSKグループも、2019年05月にベトナム最大の地場複合企業「ビングループ」へ約1100億円を出資すると発表しています。同グループは自動車やスマホ製造へと大きく舵を切っており、ITに強みを持つSKとの相乗効果は計り知れません。
こうした製造業やハイテク分野だけでなく、金融の世界でも驚きの投資が実行されました。韓国のKEBハナ銀行は、2019年07月にベトナム国営大手のベトナム投資開発銀行(BIDV)の株式15%を約950億円で手に入れる契約を交わしたのです。
これまでベトナムでの顧客は、現地に進出した韓国企業が中心でした。しかし今後は、BIDVがベトナム全土に張り巡らせている膨大な支店網を活用することで、現地のローカル企業との直接取引を劇的に拡大させていくに違いないでしょう。
日米中の思惑が交錯する世界情勢と韓国の決断
これほどまでに韓国企業がベトナムへ傾倒する背景には、激化する米中貿易摩擦が存在します。韓国にとって輸出の4分の1を占める中国向けビジネスは、2019年には前年比で16%も落ち込んでしまい、大きな打撃を受けました。
さらに日本による輸出管理厳格化をきっかけに、韓国国内では日本製品の不買運動が勃発しています。航空会社が日本路線を次々と縮小するなど日韓貿易も冷え込む中で、自国経済の停滞に苦しむ韓国企業にとって、ベトナムはまさに「救世主」と言える存在なのです。
ベトナムの2019年の海外直接投資(FDI)の総額は、前年比7.2%増の380億ドルに達しました。FDIとは、企業が外国で工場を建てたり企業を買収したりして、経営に関与する投資を指します。国別では3年ぶりに韓国が首位を奪還しました。
前年に1位だった日本は4位へと大きく順位を下げています。投資先の詳細な情報が少ないベトナムに対し、慎重に石橋を叩く日本企業とは対照的に、トップダウンで超高速の意思決定を下す韓国企業のスピード感は見事としか言いようがありません。
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