視覚障がい者の「歩く安心」を支える!白杖がもたらす自由と社会の温かい眼差し【バリアフリーの要】

視覚に障がいを持つ方々にとって、外出時の「安心」を支える重要なアイテムが白杖(はくじょう)です。この白杖がもたらす安全と自由は計り知れません。私たちが普段意識しない道のわずかな変化も、視覚障がい者の方にとっては命の危険につながる可能性があるため、白杖は単なる杖以上の意味を持っているのです。例えば、横断歩道と歩道の境にある段差は、国のガイドラインで厳密に2センチメートルと定められています。

一見すると「車いす使用者の方のためにも段差はない方が良いのでは?」と感じるかもしれません。しかし、もし段差がなければ、視覚障がい者が歩道と車道の区別をつけられなくなり、重大な事故につながりかねません。この「2センチメートル」という数字は、車いす使用者がなんとか乗り越えることができ、かつ視覚障がい者が白杖を通じて歩道と車道を識別できるという、まさに両者の安全を両立させた貴重な基準なのです。このわずかな段差を識別する鍵となるのが、他でもない白杖の役割です。

白杖は、一般的には単に「白い杖」というイメージかもしれませんが、日本眼科医会によると、その目的は大きく分けて三つあります。一つ目は、周囲の状況や路面の変化といった情報を入手すること。二つ目は、利用者の安全を確保すること。そして三つ目は、使用者が視覚障がい者であることを周囲に知らせるという、コミュニケーションの役割も担っています。白杖は、法律上、身体障がい者が使用する補装具(ほそうぐ)と位置づけられています。そのため、障がい者の要件に該当する方は、お住まいの市区町村へ申請することで、その購入費用の一部または全部の支給を受けることができる仕組みになっています。

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多様化する白杖の種類と、利用者ごとの思い

白杖は、主にアルミやカーボンといった軽量で丈夫な素材で作られており、持ち運びに便利な折り畳み式や、使用者の身長に合わせて長さを調整できるタイプ、あるいは取っ手がついたものなど、多種多様な製品があります。また、体重を支えることができるよう設計された身体保持白杖や、降雪時にも視認性が高い黄杖(きづえ)も認められています。利用者のニーズや環境に合わせて、進化していることがわかります。

視覚特別支援学校(いわゆる盲学校)では、主に小学部の低学年で白杖が渡されることが多いようです。当時の利用者からは、「白杖をもらうのが、とても楽しみだった」という声が聞かれます。それは、白杖を手にすることで「これで一人でも歩ける」という、まるで大人になったかのような自由と喜びを感じられるからでしょう。

一方で、成長してから中途で視力を失った方の中には、白杖に対してネガティブな感情を抱く方が少なくありませんでした。「白杖をついて外出するのが嫌で、家に引きこもっていた」「親が白杖を使っていることで、子どもがいじめられないか不安だった」といった意見も多く聞かれ、心理的な抵抗の大きさが伺えます。

心理的な壁を乗り越えて見つけた、白杖の「安心」

しかし、歩行訓練などを通じて、改めて外を歩くことの快適さや楽しさを思い出し、また「危ないから白杖をついてね」といった子どもの率直な言葉をきっかけに、心理的な壁を乗り越えて白杖を利用し始める方が多かったといいます。このエピソードは、白杖が単なる移動のための道具ではなく、安全な移動と社会参加への勇気を与えてくれる存在であることを物語っています。

半世紀以上にわたり白杖を作り続けている盲人福祉研究会(浜松市)の斯波千秋さんは、白杖を手にすることで安心感を得られることを、中途失明された方々にもっと伝えたいと考えています。「バリアフリーという言葉が当たり前になり、視覚障がい者の方が白杖や盲導犬と歩いていると、周囲が自然に見守り、声をかける時代になった」と、社会の意識の変化を感じているようです。

確かに、現代社会は以前に比べて、共用品やユニバーサルデザインの考え方が浸透しつつあります。だからこそ、斯波さんは「世の中は変わったよ。白杖を持つと安心だよ」と、ためらっている方々に優しく伝えたいと願っているのでしょう。この温かい社会の変化は、SNS上でも「白杖の方を見かけたら声をかけよう」「自分にもできる配慮を考える機会になった」といったポジティブな反響を呼んでおり、多くの読者が共感し、行動変容のきっかけになっていることがわかります。

私たち編集者は、この社会の変化は非常に素晴らしいものだと確信しています。白杖を使い始めた人々を、社会がどのように温かく迎えるのか。その第一歩として、白杖が持つ役割や意味を、私たち視覚に障がいのない全ての人々が深く理解することが重要だと考えます。この記事が、白杖への理解を深め、誰もが安心して暮らせる社会を作るための小さな一歩となることを願ってやみません。(この記事は2019年6月29日の状況に基づいて執筆されています)

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