健康機器のリーディングカンパニーであるタニタ(本社:東京・板橋)が、現在、アルコール検知器の生産体制を大幅に強化しています。この動きの背景には、航空業界で相次いだ乗務員の飲酒に関する問題や、社会全体で高まっている飲酒運転の撲滅機運があり、業務用アルコール検知器に対する需要が急速に拡大している状況があるのです。タニタはこの商機を確実に捉えるべく、生産効率を飛躍的に高めるための新たな設備を導入し、主力の体重計などに並ぶ、新たな収益の柱へと育成を図ろうとしています。
その生産強化の具体的な取り組みは、子会社であるタニタ秋田(秋田県大仙市)の工場で進められています。工場内の作業フロアには、人の背丈ほどの箱型をした自社開発の高性能検査装置が導入されました。これは、従来、複数の離れた場所にある装置で個別に計測していた電子機器の性能検査を、一つの装置内で自動かつ効率的に行うことを可能にするものです。この検査工程のボトルネック解消が功を奏し、2018年12月から2019年3月にかけての検査台数は、それ以前と比較して約3倍となる月4,000台近くに達しているといいます。この劇的な生産効率の改善は、販売台数の大幅な伸びにも直結しています。
現時点では、タニタの業務用アルコール検知器は、生産と組み立てを中国工場で、そして最終的な検査と出荷を秋田工場で実施する体制が取られています。当面は中国工場での大きな設備投資は不要と見られていますが、秋田工場での検査装置をさらに増設する検討が進められており、2020年前半には増設の可能性もあるとのことです。さらに、好調な日本国内での販売を受けて、2019年度中には一部の製品について、生産から検査までの全工程を秋田工場で完結できる体制の導入も目指されており、国内生産への一部回帰の動きも見受けられます。
急増する「アルコール検査」需要!機動性とコストを両立した小型化戦略
アルコール検知器の需要が急拡大している要因として、特に航空業界における飲酒問題が挙げられます。一部の航空会社では、従来の空港での検査に加え、機内でも計測を実施するなど、検査の場所や頻度を増やし、より厳格な飲酒管理体制が求められるようになりました。また、社会的な飲酒運転への視線は年々厳しくなっており、今後は航空・運輸・物流業界だけでなく、社用車を運転する営業職など、幅広い企業で日常的なアルコール検査の実施が広がっていくとタニタは予測しています。これは企業のコンプライアンス強化や健康経営の一環としても非常に重要なテーマとなるでしょう。
タニタのアルコール検知器が市場で評価されている特長は、その小型化と使いやすさにあります。縦6センチメートル、横13センチメートル程度という手のひらサイズの大きさは、従来の卓上型機種と比べて持ち運びに非常に適しており、抜き打ち検査のような機動的なアルコールチェックを可能にしました。また、価格も約4万円からと比較的安価であり、導入コストを大幅に抑えられる点も、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
測定方法には、息を吹き込むストローを利用する方式が採用されています。このストローは利用者ごとに交換して使用するため衛生的です。さらに、ストロー式は空気の流量を一定に保ちやすく、結果として計測精度の向上にも繋がるという専門的なメリットも持ち合わせています。このように、タニタの製品は、使い勝手の良さと精度の高さを両立させているのです。
SNS上でも、「タニタの技術なら安心」「小型で持ち運びやすいのは助かる」といった小型化とブランドへの信頼に言及する好意的な反響が見受けられます。これは、長年培ってきた健康機器メーカーとしての信頼性が、この新しい分野にも活かされている証拠だといえるでしょう。タニタ秋田の樫尾昇工場長が「いつまでも体重計などに頼るわけにいかない」と語っているように、同社は主力事業である体組成計や活動量計の売上が横ばい傾向にある中で、このアルコール検知器事業を競争力向上のための重要な戦略と位置づけ、製造と販売の両面で力を入れています。社会のニーズを捉えたこの事業展開は、タニタの将来の成長を牽引する力となるに違いありません。

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