2019年のゴールデンウイーク(10連休)が明けて以降、日本の株式市場が冴えない展開を続けています。2019年5月28日時点で、日経平均株価は4月末と比べて5%も下落。米中通商交渉の難航や、英国のEU離脱を巡る政治混乱など、海外発のリスク要因に対する警戒感が一気に強まっています。SNSでも「株価が下がるのが早すぎる」「米中問題が片付くまで手が出せない」といった不安の声が広がっています。
こうした株価下落局面で、これまでは「逆張り(ぎゃくばり)」と呼ばれる投資手法をとる個人投資家が市場を下支えしてきました。「逆張り」とは、株価が下がったところを「割安になったチャンス」と捉えて買いを入れることです。「押し目買い(おしめがい)」とも呼ばれます。しかし、今回の下落局面では、その頼みの個人投資家が動いていないという異変が起きているのです。
松井証券の窪田朋一郎氏によると、2019年5月に入ってからの売買は低調で、株価が下がっているにもかかわらず、押し目買いの動きが活発になっていないと指摘します。実際、東証が発表した2019年5月第2週(13日~17日)の投資部門別売買動向では、個人投資家は現物株を397億円も「売り越し」(買った金額より売った金額が多いこと)ており、買いの姿勢が見られません。
なぜ個人投資家は「逆張り」に動かないのでしょうか。最大の理由は、国内外の景気減速懸念によって、日本株の「先高観(さきだかかん)」(=今後株価が上がるという期待感)が大きく後退しているためです。年初からの株高を支えていた米中交渉の妥結という期待が崩れ始め、業績の下振れが懸念される「景気敏感株」(製造業など)は買いにくい状況です。
かといって、資金の逃げ先となる「内需(ないじゅ)」関連株も、国内景気の不安がつきまといます。2019年1~3月期のGDP(国内総生産)はプラス成長でしたが、中身を見ると個人消費や設備投資は力強さに欠けます。さらに、2019年10月には消費増税が控えています。「国内外ともに不透明感が強く、あえて今買う動きは乏しい」との指摘も聞かれます。
もう一つの深刻な理由は、投資家の「余力」の低下です。「信用買い残」(証券会社からお金を借りて買った株)が減少傾向にある上、その「評価損益率」(現在どれくらいの含み損益があるか)は2019年5月17日時点でマイナス15.39%と、大きな「含み損」を抱えた投資家が多い状態です。SNSで「含み損で身動きが取れない」「今は耐える時」といった悲鳴が上がるのも無理はありません。
企業の決算発表も一巡し、市場の関心は2019年6月のG20(20カ国・地域首脳会議)で開かれる米中首脳会談に移っています。日本株独自の買い材料に乏しい中、本来なら相場の下値を支えるはずの個人投資家が不在であることは、今後の相場をさらに不安定にさせる要因となるかもしれません。
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