2019年11月05日現在、私たちの日常において自然災害への備えは欠かせない課題となっています。特に地震大国である日本において、建物の「耐震性能」は企業の存続を左右する重要なファクターです。建物の強さを図る一つの指標が、建築基準法に基づく耐震基準の変遷にあります。
この基準は1971年と1981年に大きな転換点を迎えました。1981年以降に適用されている「新耐震基準」は、震度5強程度の揺れでほとんど損傷せず、震度6強から7の激震でも倒壊を免れる設計がなされています。一方、それ以前の「旧耐震基準」の建物は、最新の知見に照らすと補強が必要なケースが目立ちます。
阪神大震災が証明した新耐震基準の信頼性
過去のデータが示す事実は残酷であり、また教訓に満ちています。1995年の阪神・淡路大震災における調査では、旧耐震基準の建物が大破・倒壊した確率は、新耐震基準の建物に比べて約3倍も高いという顕著な差が現れました。この結果は、現在の新耐震基準が持つ地震耐力の高さを裏付けるものと言えるでしょう。
SNS上では「古いオフィスビルに入居しているので不安だ」「診断を受けるコストが重い」といった企業の切実な声が上がっています。しかし、従業員の命と事業継続(BCP)を天秤にかければ、旧耐震物件に対する診断や補強工事は、決して避けては通れない投資であると私は考えます。
建物が無事でも油断禁物!設備固定の重要性
ここで盲点となるのが、建物自体が耐えても「中身」が凶器に変わるリスクです。什器(じゅうき)とは、日常的に使用する器具や備品を指しますが、これらが転倒すれば業務停止は免れません。ネット上でも「建物は無傷だったのに、棚が倒れてPCが全滅した」という悲鳴のような投稿が散見されます。
床に置かれたラックや機械設備は、アンカーボルトなどで適切に固定し、横ずれを最小限に抑えることが不可欠です。また、天井から吊るされた照明器具や配管類には、揺れを抑える「振れ止め」の強化が求められます。建物という「器」の強さを過信せず、内部の安全を確保してこそ真の防災が完成するのです。
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