冬のオフィスカジュアル新常識!お茶の水女子大・申キ栄准教授に聞く「#KuToo」から考える生産性向上と自分らしさ

働き方改革の波が押し寄せる中、2019年11月05日現在、職場での服装に対する考え方が劇的な転換期を迎えています。かつての日本のオフィスといえば、男性はスーツ、女性は制服というスタイルが組織の団結を象徴する「正解」とされてきました。しかし、こうした画一的な装いは今や過去のものになりつつあります。お茶の水女子大学で比較ジェンダー開発論を研究する申キ栄准教授は、この変化の背景には個性を重視する新しい働き方の浸透があると指摘しています。

現代社会では一つの企業に生涯を捧げる働き方が減少し、女性の社会進出も目覚ましいスピードで加速しています。組織の歯車として周囲に合わせるよりも、一人ひとりの「自分らしさ」を大切にする文化が育まれてきた結果が、現在の服装の自由化に反映されているのでしょう。SNS上でも「仕事の服が変われば気持ちも変わる」といった共感の声が多く寄せられており、個人のアイデンティティを尊重する動きは止まることを知りません。

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グローバル競争を勝ち抜くための多様性と自由な発想

なぜ今、企業はこぞって服装のカジュアル化を推奨しているのでしょうか。その大きな要因の一つに、世界規模で激化する優秀な人材の獲得競争が挙げられます。海外市場を視野に入れたビジネスを展開するためには、多様な背景を持つ人々が自由に意見を交わせる環境が不可欠です。枠にはまった考え方ではなく、斬新なアイデアを生み出す人材こそが求められており、服装の自由はその創造性を解き放つための第一歩といえるでしょう。

「自由な服で働ける」という事実は、従業員のモチベーションを劇的に高める効果が期待できます。自分にぴったりのスタイルで業務に臨むことは、心理的なストレスを軽減し、結果として生産性の向上に直結するはずです。私自身、窮屈な服よりもリラックスできる服装の方が、思考がスムーズに巡ると感じることが多々あります。管理職の皆様には、部下が最もパフォーマンスを発揮できる装いを見守る寛容さが求められているのです。

「#KuToo」が問いかける健康と安全、そして性差別の壁

2019年に大きな社会現象となった「#KuToo(クツー)」運動についても、申准教授は重要な見解を示しています。靴と苦痛、そして「#MeToo」を掛け合わせたこの言葉は、女性へのパンプスやハイヒールの強制に抗議するものです。足の痛みや外反母趾に悩む多くの女性たちの切実な叫びは、SNSを通じてまたたく間に拡散されました。単なるファッションの好みではなく、健康被害や転倒のリスクを伴う安全面の問題として捉える必要があります。

カナダやフィリピンでは、すでに職場で特定の履物を強要することを禁じる法律や指針が整備されています。こうした世界的な流れを見ても、合理的な理由なく「女性らしさ」だけを理由にヒールを強いることは、深刻な性差別になり得ると認識すべきでしょう。性差別とは、性別を理由に不当な制限や不利益を与えることを指しますが、現代のビジネスシーンにおいて、こうした古い価値観は企業の信頼を損なうリスクすら孕んでいます。

男性管理職の意識改革も、この問題を解決する重要な鍵を握っています。外回りから戻った瞬間に革靴からサンダルに履き替える男性が多いように、誰もが本音では「楽な格好」を望んでいるはずです。その感覚を女性の苦痛に置き換えて想像してみれば、自ずと歩み寄るべき道が見えてくるのではないでしょうか。誰もが心身ともに健やかに働ける職場環境を整えることは、もはや全てのリーダーにとって避けては通れない責務です。

もちろん、接客や営業といった対外的な顔となる現場では、一定の節度が求められるのも事実でしょう。しかし、そのルール作りは一方的な押し付けであってはなりません。実際に現場で汗を流すスタッフの声を丁寧に汲み取り、機能性と礼儀のバランスを最適化していくプロセスこそが、今の時代にふさわしい「大人のビジネスマナー」の在り方だと私は確信しています。

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