2019年12月19日のニューヨーク株式市場は、まさに祝祭ムードに包まれました。ダウ工業株30種平均が反発し、史上最高値を塗り替えたのです。この勢いを牽引したのは、半導体大手マイクロン・テクノロジーの輝かしい決算報告でした。これを受けてハイテク株を中心に買いが広がり、市場全体が活気づいています。
一方、同日にはトランプ大統領の弾劾訴追案が下院で可決されるという政局の揺れもありましたが、投資家たちは冷静です。共和党が主導権を握る上院で否決される見通しが強いため、市場への影響は最小限に留まりました。しかし、この絶好調な相場の中で、ひとり取り残されているセクターがあるのをご存知でしょうか。
それはエネルギー関連株です。S&P500指数が年初から約28%も上昇する快進撃を見せるなか、エネルギーセクターの伸びはわずか6%に止まっています。SNSでは「これほど強気な市場で、なぜ石油株だけがこれほど冴えないのか」といった嘆きや、ポートフォリオの再編を検討する投資家の声が目立っています。
かつて米国はシェール革命により、2018年には世界最大の産油国へと登り詰めました。しかし、供給過剰による資源価格の低迷が収益を圧迫しています。さらに追い打ちをかけるのが、2020年の大統領選を控えた政治の影です。特に民主党候補らが掲げる厳格な環境政策が、投資家を慎重にさせているのです。
フラッキング規制の衝撃と大統領選の行方
今、市場が最も恐れているのは「フラッキング」への規制です。これは、地下の岩盤に高圧の水を送り込んでひび割れを作り、そこからガスや石油を抽出する採掘技術のことです。安価なエネルギー供給を可能にした一方で、地下水汚染や地震誘発の可能性といった環境リスクが、SNSでも若年層を中心に激しく議論されています。
民主党の有力候補であるウォーレン氏やサンダース氏は、このフラッキングの全面禁止を公約に掲げています。専門家によれば、エネルギーセクターへの資金流入は、この技術が普及し始めた2008年以降で最低水準に落ち込んでいるといいます。環境対策が強化されれば、保有する資源の価値が「座礁資産(価値が失われる資産)」になりかねないからです。
もちろん、大統領の権限だけで即座に全面禁止にすることは法的に困難です。しかし、トランプ政権が強引な大統領令を連発してきた前例を見れば、次期政権が「政治的パフォーマンス」として規制を強行する可能性は否定できません。投資家は、まさに不透明な未来という霧の中を歩まされている状況といえるでしょう。
私は、このエネルギー株の低迷こそが「資本のパラダイムシフト」を象徴していると考えます。単なる収益性だけでなく、倫理や環境負荷が株価を決定する時代の幕開けです。2020年の選挙結果次第で、米国のエネルギー地図は180度塗り替えられるかもしれません。今はまさに、時代の転換点に立ち会っているのです。
コメント