イタリア政府が、巨大IT企業を対象とした新たな税制の導入を決定しました。2019年12月23日の週にイタリア議会で新法案が可決され、2020年01月01日から「デジタル課税」が正式にスタートします。これはフランスが先行して導入した動きに追随するもので、国境の壁を越えて莫大な利益を上げるグローバル企業に対し、適切に納税を促す強力な一手となるでしょう。
今回の新税制は、全世界で7億5000万ユーロ(約910億円)以上の売上高を誇り、かつイタリア国内で550万ユーロ以上の収益を上げている企業が対象となります。対象となる事業は、インターネット広告や音楽の配信サービス、クラウドコンピューティングなど多岐にわたり、デジタル収入の3%が課税されます。伊政府は、この施策によって年間で約7億ユーロもの貴重な財源が確保できると試算しています。
物理的な拠点がなくても課税?「デジタル課税」の仕組みと背景
そもそも「デジタル課税」とは、物理的な拠点を持たずにビジネスを展開するIT企業に対し、その国で得た利益に応じて税を課す仕組みのことです。従来の国際的なルールでは、オフィスなどの「恒久的施設(PE)」がない外国企業には法人税を課せない原則がありました。しかし、データ通信だけで稼ぐ米国の巨大IT勢は、売上に対して極端に税負担が低い実態があり、「不公平だ」という批判が国内で渦巻いていたのです。
SNS上では、このニュースに対して「当たり前の流れ」「不公平な節税合戦を終わらせてほしい」といった賛成意見が多く見受けられます。一方で、「サービスの利用料金に増税分が転嫁されるのではないか」といった、消費者の家計への影響を懸念する声も無視できません。巨大IT企業のサービスが日常に溶け込んでいるからこそ、利用者の視線は非常に鋭くなっているようです。
激化する米欧の貿易摩擦と今後の展望
私は、今回のイタリアの決断は、古い国際課税のルールが現代のデジタル経済に追いついていない現状を打破するための、止むを得ない正当な防衛策だと考えています。しかし、この動きは米国との対立を深めるリスクを孕んでいます。すでにフランスに対しては、トランプ米政権が制裁として約24億ドル分もの関税を検討しており、イタリアに対しても同様の報復措置を示唆しているからです。
今後、イタリアやフランスに続いて他の欧州諸国も同調する可能性が高いでしょう。IT大手の「税逃れ」を防ぐという大義名分は立派ですが、それが米欧間の「貿易戦争」に発展してしまえば、世界経済全体が冷え込む恐れもあります。デジタル時代の公正なルール作りが、政治的な駆け引きの道具にならないことを切に願うばかりです。2020年01月01日からの施行後、各国の反応から目が離せません。
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