東芝機械が踏み切った「有事型」買収防衛策の衝撃!村上ファンド系TOBへの対抗策が日本企業の未来を変える?

日本企業の経営を揺るがす「買収防衛策」が、今まさに大きなターニングポイントを迎えています。これまで多くの企業は、具体的な脅威がない平穏な時期にあらかじめ備えておく「平時型」の導入を進めてきました。しかし、東芝機械が実際に買収の手が迫った局面で緊急導入する「有事型」へと踏み切ったのです。この果敢な決断が、今後の経済界のあり方を占う重要な試金石になるとして、企業や法曹界から熱い視線が注がれています。

そもそも防衛策の「平時型」と「有事型」の違いは、単純にそれを組み込むタイミングにあります。どちらのタイプであっても、実際に敵対的な買収者が現れた後に、新株予約権などを発行して相手の株式比率を下げる仕組み(ポイズンピル=毒薬条項)を作動させる点では同じです。事前に網を張っておくか、敵を見てから罠を仕掛けるかの違いと言えるでしょう。

東芝機械は2020年1月17日、著名投資家の村上世彰氏が関わる企業からTOB(株式公開買い付け)の打診を受け、まさに「有事」の事態に直面しました。そこで同社は、村上氏側が適切なルールを守らない場合や、強引な買い占めが企業の価値を損なうと判断した場合に、新株を発行して相手の支配力を薄める有事型防衛策を打ち出したのです。

この電撃発表に対し、SNSやネット上では「かつての買収劇を思い出す」「ついに日本でも有事型が本格化するのか」といった驚きの声が広がっています。企業法務の専門家たちの間でも「止まっていた時計の針が再び動き出した」と大きな衝撃が走りました。それもそのはず、有事型の防衛策がこれほど激しく議論されるのは、かつてのブルドックソース事件やライブドアによるニッポン放送の買収劇以来、実に10年以上ぶりのことだからです。

これまで日本のビジネス社会では、株主の意見を最優先にする傾向が強かったため、事前に予測可能な「平時型」が好まれてきました。買収者が守るべき手順を前もって提示する「事前警告型」や、あらかじめ信託銀行に権利を預託しておく「信託型」がその代表例です。これらは交渉のための時間を十分に確保し、他の株主が冷静に判断できるように作られた、いわば「対話のための猶予期間」を設けるための仕組みでした。

一方で、M&Aの本場であるアメリカでは、社外取締役が過半数を占める独立性の高い取締役会の決議だけで防衛策を導入するのが一般的です。誰かが大量の株式を買い占めると自動的に他の株主に新株が行き渡る仕組みですが、これは強硬に相手を排除するためではなく、あくまで話し合いの席に着かせるためのツールとして機能しており、実際に発動された例はほとんどないと言われています。

今回の東芝機械と村上氏側の対立は、最終的に防衛策の正当性を争う裁判へと発展する可能性を秘めています。法的な争点となるのは、防衛策の導入や発動を経営陣(取締役会)だけで決めてよいのか、それとも株主総会を開いて広く株主のジャッジを仰ぐべきなのかという点です。

現在、両者は株主総会を開く方針については一致しているものの、総会準備のためにTOBの期間を延ばすかどうか、また採決を通常の「普通決議」にするか、よりハードルの高い3分の2以上の賛成を要する「特別決議」にするかで激しく対立しています。

実は、日本の平時型防衛策は減少の一途をたどっています。調査によると2019年12月末時点で導入企業は325社まで落ち込み、ピーク時から4割も減少しました。いわゆる「持ち合い株」などのサイレントマジョリティが減り、投資ファンドなどの株主が経営陣の保身につながる防衛策に厳しく反対するようになったからです。

もし東芝機械が今回の有事型防衛策で買収を退けることができれば、多くの企業が従来の平時型を廃止し、いざという時の有事型へとシフトしていくでしょう。私は、見せかけの防衛策を廃止して水面下に隠すような姿勢ではなく、経営陣は常に企業価値を高める努力を怠らないことこそが最大の防衛策だと考えます。有事の際、私たち一般の投資家や機関投資家が「本当に会社を守るための防衛か、経営陣の保身か」を冷徹に見極める目を持つことが、これからの日本市場には求められているのではないでしょうか。

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