栃木県足利市。日本最古の学校として知られる史跡「足利学校」や、国宝の本堂を擁する「鑁阿寺(ばんなじ)」のほど近くに、かつて花街として栄えたレトロな雰囲気漂う北仲通りがあります。大正から昭和の趣を残すこの地は、時代の変化とともに空き店舗が増え、往時の賑わいが失われつつありました。しかし今、この場所に再び熱い注目が集まっていることをご存じでしょうか。若き起業家たちが続々とこの地に集い、新たな物語を紡ぎ始めているのです。
地元の若者が切り拓く、新しい街の景色
2018年4月、鑁阿寺の西側にオープンしたカフェ「八蔵」は、そんな変化を象徴する場所です。オーナーの梁川健人さんは、東京からUターンしてきた33歳。「観光客向けと考えていたものの、実際には8割が地元の方」と語る通り、このカフェは街に暮らす人々の憩いの場としてしっかりと根を下ろしました。ここ3年ほどで、このエリアには10軒前後の新しい店舗が誕生しています。
かつて織物産業で栄えた足利市は、多くの料亭や小料理屋が軒を連ねる賑やかな町でした。しかし、産業の衰退や郊外型施設の台頭により、かつての活力は影を潜めていました。この状況を打破しようと立ち上がったのは、行政と市民のタッグです。移住促進イベントでのスカウトや、空き物件を丁寧に紹介する「まちなか探検隊」といった官民一体の地道な努力が、今まさに結実の時を迎えているといえるでしょう。
点から面へ、繋がりが生む街の魅力
その先駆けとなったのが、2017年9月に創業したおでん店「もっくもっく」の木村勲武さんです。路地裏に残る老舗店舗の味わいに魅せられたという木村さんに続き、パン店やイタリア料理店などが次々とオープンしました。SNSでも「足利の路地裏がすごくおしゃれになっている!」「また新しいお店ができたのか」といった声が聞かれ、地域の再発見が確実に進んでいることが伺えます。
注目すべきは、彼らの「連携」です。ワインを楽しむイベント「路地裏ワイン」の開催や、2019年に発行された情報紙「KITA NAKA 100%」など、ただ個店が並ぶだけでなく、街全体を盛り上げようという熱意に満ちています。私自身、このような「自分たちの街を自分たちで面白くする」という姿勢こそが、現代の地方再生において最も重要な鍵であると強く感じます。
滞在型の観光へ、広がるビジネスの輪
飲食店だけでなく、拠点となる施設も充実し始めています。2019年9月に開業したゲストハウス「わ家」は、半年弱で約50人の宿泊客を迎えました。街をゆっくり回遊してもらうための拠点として、期待は高まるばかりです。さらに2020年1月25日には、シェアオフィス機能を持つ「イズミヤニカイ」もオープンしました。
これからは、単なる日帰り観光地としてではなく、いかにして人を滞在させ、地域に根付かせていくかが問われるフェーズに入ったのではないでしょうか。若いエネルギーが歴史ある街をアップデートしていく過程を、今後も追いかけ続けたいものです。北仲通りのこれからには、地域再生の希望が詰まっていると言っても過言ではありません。
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