インターネット上を揺るがせた未曾有の著作権侵害事件が、大きな節目を迎えようとしています。違法にアップロードされた漫画を誰でも閲覧できる状態にしていた海賊版サイト「漫画村」の元運営者、星野路実容疑者が、フィリピンの入国管理局によって拘束されたことが2019年07月09日に判明しました。日本の捜査当局による指名手配を受け、在フィリピン日本大使館が要請したことで今回の身柄確保に至っています。
今後は強制送還の手続きが進められる予定となっており、著作権法違反の疑いで捜査を続けてきた福岡県警などが、日本へ到着した段階で本格的な逮捕に踏み切る方針です。漫画村は2016年ごろに突如として現れ、人気作品を作者の許可なく公開し続けてきました。2018年04月に閉鎖されるまでの期間に、のべ6億人以上が利用したという驚異的な数字は、出版業界に計り知れない衝撃を与えたといえるでしょう。
コンテンツ海外流通促進機構の試算によれば、このサイトによる被害総額は約3000億円という天文学的な数字に上ります。SNS上では「ついに捕まったのか」「漫画家さんの努力を搾取する行為は許されない」といった声が相次ぎ、クリエイターの権利を守るべきだという世論が急速に高まっています。一方で、あまりに身近な存在だったサイトの主犯格が海外で逃亡生活を送っていた事実に、驚きを隠せないユーザーも少なくありません。
巧妙な逃亡劇の終焉と海賊版サイトを巡る深い闇
星野容疑者の足取りが掴めたのは、まさに間一髪のタイミングでした。2019年07月07日にマニラ空港から香港へ出国しようとしていたところを、現地の当局が発見し収容に成功したのです。複数の大手出版社や漫画家たちが刑事告訴を行ってから、警察は執念の捜査を続けてきました。海賊版サイトとは、本来なら有料で提供されるべきコンテンツを、広告収入などを目的に無断で複製・配信する違法なプラットフォームを指します。
こうしたサイトは、配信元を隠すために海外の複数のサーバーを経由させる「プロキシ(代理サーバー)」などを悪用するため、運営者の特定は極めて困難とされています。しかし今回は、配信を中継していた米国企業の通信記録から足跡が露呈し、犯人特定への突破口が開かれました。テクノロジーを悪用した潜伏も、法執行機関の連携の前には通用しなかったといえます。これは今後のインターネット犯罪抑制への大きな一歩となるはずです。
政府も事態を重く見ており、2018年04月には特定の悪質なサイトへのアクセスを通信事業者が強制的に遮断する「ブロッキング」の検討を開始しました。しかし、これは通信の秘密や検閲の懸念といった憲法上の議論を呼び、2018年10月には有識者会議が無期限延期となっています。さらに、漫画のダウンロードを違法化する法改正案も、過度な規制がネット利用を萎縮させるとの批判から、2019年の通常国会への提出は見送られました。
私自身の考えとしては、漫画という日本が誇る文化資産を支えるためには、適切な対価が作者に還元される仕組みを絶対に守らねばならないと感じます。便利だからという理由で違法サイトを利用することは、結果的に未来の名作を殺してしまう行為に他なりません。法整備には慎重な議論が必要ですが、まずは今回の逮捕劇が「ネット上の不正は必ず暴かれる」という強い警告となり、健全なデジタル社会への転換点になることを願ってやみません。
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