2019年08月14日現在、世界経済を揺るがしている「米中貿易戦争」は、ついに引き返せない領域へと足を踏み入れたようです。この争いは、米国と中国が互いの輸入品に高い関税をかけ合うことで、自国の産業を守ろうとする経済的な「戦争」を指します。しかし、その最前線で弾除けにされているのは、皮肉にもトランプ大統領を熱烈に支持してきた米国の農家の方々ではないでしょうか。
中国政府は米国による関税強化への報復として、米国産農産物の輸入を完全に停止するという極めて強硬な手段に打って出ました。これまで広大な農地で収穫された大豆やトウモロコシの多くを中国へ輸出していた米農家にとって、この決定は死活問題と言わざるを得ません。頼みの綱だった巨大市場を失い、行き場をなくした農産物が倉庫に積み上がる光景は、あまりにも残酷な現実を物語っているようです。
こうした事態を受けて、SNS上では「トランプ大統領を信じて投票したのに、これでは生活が成り立たない」という農家からの切実な訴えが相次いでいます。また、一般のユーザーからも「大国の意地の張り合いで、真面目に働く生産者が犠牲になるのは見ていられない」といった同情の声が寄せられており、現政権の支持基盤が揺らぎ始めている様子が浮き彫りになっています。
漁夫の利を得るブラジルとロシアの戦略
米国の不在という空白を逃さず、巧みに付け入ろうとしているのがブラジルやロシアといった農業大国です。これらの国々は、中国が米国から買わなくなった分を肩代わりするように、供給を急速に拡大させています。いわゆる「漁夫の利」を得る形で、国際的な農産物市場におけるシェアを奪い取ろうとする動きが加速しており、世界の流通経路が今まさに塗り替えられようとしているのです。
ここで重要なキーワードとなるのが「商品価格の下押し圧力」です。これは、特定の商品の供給量が増えすぎることで、市場での取引価格が下がってしまう現象を意味します。ブラジルやロシアが生産を強化すれば、世界全体で農産物が余り気味になり、結果として価格が暴落します。これは米農家にとって、売る場所がないだけでなく、売れたとしても二束三文にしかならないという二重の苦しみを招くでしょう。
編集部としての見解ですが、今回の貿易摩擦は単なる一時的な衝突ではなく、世界の農業構造を根本から変えてしまう危険性を秘めていると感じます。一度失った輸出ルートを取り戻すのは容易ではありません。たとえ貿易戦争が終結したとしても、中国がすでに構築してしまったブラジルやロシアとの新たな信頼関係を崩すことは、米国にとって至難の業になるに違いないと予測されます。
国家間のプライドをかけた戦いの裏で、泥にまみれて働く人々が報われない今の状況には、強い憤りを感じずにはいられません。自由貿易が生み出してきた恩恵を自ら手放し、保護主義に走ることで得られる果実は、本当に農家の人々の口に入るものなのでしょうか。今後のトランプ政権の救済策や、中国側の次なる一手に、世界中の注目が集まることは間違いありません。
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