2019年11月01日、自動車の内装部品を手掛けるテイ・エステックが発表した業績見通しの下方修正は、業界内に大きな衝撃を与えています。同社の主力製品である自動車用シートは、現在その売上高の約9割を本田技研工業(ホンダ)向けが占めている状態です。しかし、世界的な新車販売の停滞という逆風が直撃し、保田真成社長は「経費削減だけでは到底補いきれない」と、厳しい現状を率直に語りました。
こうした苦境を打開するため、同社は今まさに「販路の拡大」という大きな舵を切ろうとしています。これまでは特定のメーカーと深く結びつくことで安定を享受してきましたが、市場の変動に耐えうる強固な経営基盤を築くためには、ホンダ以外の完成車メーカーへも供給先を広げることが不可欠です。ネット上では「高い技術力があるのだから、他社でも通用するはずだ」と、その品質を信頼するポジティブな反響も寄せられていました。
CASE革命の波と部品メーカーの再編劇
現在、自動車業界は「CASE」と呼ばれる100年に一度の変革期の真っ只中にあります。これは、Connected(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(共有)、Electric(電動化)の頭文字を取った専門用語で、従来の車づくりの概念を根底から覆す流れを指します。この激動のなか、2019年にはホンダ傘下の部品メーカー4社が日立製作所系との統合を決定するなど、生き残りをかけた合従連衡が加速しているのです。
業界の再編が進むなかで、テイ・エステックが独自の道を切り拓こうとする姿勢は、非常に勇気ある決断だと私は評価しています。独立性を保ちつつ販路を広げることは、自社の技術力が世界基準で試されることを意味するでしょう。単なる「シートの製造」に留まらず、自動運転時代の快適な居住空間を提案できるかどうかが、同社が次世代のモビリティ社会で不可欠な存在になれるかの分かれ道になるはずです。
2020年03月期の業績見通しは厳しいものとなりましたが、これは次なる成長のための「産みの苦しみ」とも受け取れます。保田社長が掲げる「ホンダ以外への販路拡大」が具体的にどのような形を成すのか、今後の提携や受注動向から目が離せません。SNSでも「日本のモノづくりの意地を見せてほしい」といった応援の声が散見されており、既存の枠組みを超えた同社の新たな挑戦に、多くのステークホルダーが期待を寄せています。
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