🦀健康志向と世界的需要増で高騰!練り製品の要「スケソウダラすり身」が10年ぶり高値を更新

ちくわやかまぼこ、カニ風味かまぼこ(カニカマ)など、私たちの食卓でおなじみの水産練り製品。その根幹を支える主原料であるスケソウダラのすり身が、現在、驚くほどの価格上昇を見せています。指標となる北米産の国際価格は前年同期に比べ7%も上昇し、実に10年ぶりの高値水準に達しているのです。この価格高騰の背景には、日本だけでなく、世界的な需要の急増という、大きな潮流があるようです。

特に、欧州や中国で「健康的で良質なたんぱく源」としてのスケソウダラすり身の魅力が再認識され、消費が大きく伸びています。世界最大の消費国である日本も、その影響を避けられません。輸入価格の上昇は顕著で、日本のかまぼこメーカー各社は、この秋から冬にかけての商品、特におでん種やおせち向けのかまぼこ類について、さらなる値上げを検討せざるを得ない状況に直面しているのです。

多くの練り製品の原料となるスケソウダラは、主に北米から輸入されています。具体的には、上級品(洋上FA級、冷凍、需要家渡し)の国際価格は1キロあたり580円から600円前後で取引されており、これは前年同期と比べて約1割、2年前と比較すると約2割も高い水準です。これほど価格の上昇が継続するのは極めて異例の事態であり、「初めての経験だ」と語る長崎県の加工会社もあるほどでしょう。

過去には2008年から2009年にかけて、北米での漁獲枠削減を背景にすり身価格が高騰したことがありますが、当時は在庫や北米以外からの供給で価格は落ち着きました。しかし、今回は世界の需要拡大に供給が追いついていない構造的な問題が根底にあります。欧州ではタラをムニエルやフライに、そして日本や中国ではカニカマの原料としての消費が急増しているのです。この世界的な需要の高まりこそが、今回の高騰の最大の要因と見て間違いないでしょう。

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ヘルシー食材としての世界的な注目と高まる中国の購買力

特に中国での需要の強さは注目すべき点です。家畜の伝染病であるアフリカ豚コレラの発生を受け、豚肉に代わる「安全でヘルシーなたんぱく源」として、スケソウダラすり身への引き合いが非常に強くなっています。大手水産商社によると、その購買意欲は非常に旺盛で、仮に米中貿易摩擦の影響で2018年に米国産すり身に25%の輸入関税が課せられたとしても、「関税障壁を感じないほど」であると、北米産の買い付け担当者が話しているほどなのです。

北米産のスケソウダラは、春と秋に漁期があります。産地の資源管理によって漁獲量は近年安定しており、2019年春の漁獲量も前年並みで推移しました。さらに、前年は5歳魚(1匹600グラム前後)が中心でしたが、今春は6〜7歳魚(同800グラム)が主体となり、魚体が大きい分、「すり身の生産効率も良かった」という明るい話題もあったようです。しかし、この増産分をもってしても、世界的な需要の勢いには追いついていない状況です。

北米産が安定している一方で、北米以外の産地での水揚げが不振な点も、価格高騰に拍車をかけています。日本では北海道のホッケやスケソウダラ、東南アジアではイトヨリなどがすり身の原料にされますが、近年は各地で不漁が続いており、北米産への依存度が必然的に高まってしまいました。この結果、国際相場全体の上昇を引き起こしているのです。

高騰の波は食卓へ!メーカーの苦渋の決断とSNSの反響

すでに、この原料高の波は消費者の食卓にも影響を与え始めています。練り製品の大手メーカーでは、日本水産が2019年春にカニカマや魚肉ソーセージなどの家庭用すり身製品を5%から10%、紀文食品が練り製品や中華総菜を5%から15%、それぞれ値上げに踏み切りました。これらの値上げは前年までの原料高を反映したものですが、中堅メーカーの担当者は「これほどの原料高は想定していなかった」と、現在の価格上昇のスピードに戸惑いを隠せない様子です。

練り製品の主力商品は、春夏物と秋冬物で切り替わるため、各メーカーは今、重大な決断を迫られています。特に、9月以降に店頭に並ぶおでん種やおせち料理向けのかまぼこなど、秋冬商品の値上げを検討しているメーカーが多いと見られます。この原料高は、消費者の皆様にとってはおでんやおせちの費用負担が増す可能性を意味しており、SNS上でも「練り製品まで高くなったら困る」「カニカマがお手頃価格で買えなくなるのは痛い」といった、食卓への影響を懸念する声が数多く見受けられます。

私見ですが、今回のすり身高騰は、グローバルな食料需給の変化が日本のローカルな食文化に直結する、非常に象徴的な出来事だと考えられます。欧州や中国が、スケソウダラをヘルシーな低脂肪・高たんぱくな食材として再評価する動きは、国際的に見れば理にかなっています。しかし、世界一の消費国としてすり身に大きく依存してきた日本の練り製品業界にとっては、原料価格が「値ごろ感」を失ってしまうことは、ご当地練り製品を含めた多様な食文化の維持にも関わる、非常に深刻な課題です。メーカー各社には、原料の安定確保と、商品の品質・価格のバランスを保つための、知恵と工夫がこれまで以上に求められるでしょう。

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