米中貿易協議の進展に期待が寄せられる中、2019年12月11日現在の日本株式市場は活気を取り戻しつつあります。日経平均株価の予想PER(株価収益率)は14倍台まで上昇し、投資家のマインドも上向きです。そんな中で注目を集めているのが、2020年3月期に増益を見込みながらも、依然として割安な水準に放置されている銘柄たちの存在でしょう。
投資指標として欠かせないPERとは、企業の純利益に対して株価が何倍まで買われているかを示す数値です。この数値が低いほど、利益の割に株価が安い「割安株」と判断されます。今回のランキングでは、増益予想というポジティブな材料がありながらもPERが低い、いわゆる「お買い得感」のある銘柄が浮き彫りとなりました。
電力セクターが上位を席巻!背景にある構造的課題
ランキングの首位に輝いた中国電力を筆頭に、トップ10圏内には電力会社が3社もランクインしました。しかし、これほどまでに割安なのは、投資家が手放しで喜べない事情を抱えているからです。電力小売り自由化による激しいシェア争いや、思うように進まない原子力発電所の再稼働問題が、将来への不透明感として株価を押し下げているのでしょう。
特に6位に名を連ねた関西電力については、2019年に発覚した金品授受問題というガバナンス上の大きな傷跡が、今なお重荷となっています。こうした不祥事や規制のリスクが、増益予想という明るいニュースを打ち消してしまっている印象を拭えません。SNS上でも「配当は魅力的だが、将来性を考えると買いにくい」といった慎重な意見が目立ちます。
「万年割安」の商社株と景気敏感株の行方
電力株と並んで目立ったのが、丸紅や双日、三井物産といった総合商社勢です。商社株は以前から「万年割安」と揶揄されることが多く、その背景には業績が資源価格の変動に左右されやすいという宿命があります。多角化が進みすぎて事業の実態が掴みづらいことも、投資家が高い評価を下しにくい一因となっているはずです。
さらに、出光興産や商船三井といった景気敏感株、さらには飯田グループホールディングスなどの住宅メーカーも低PER組として名を連ねています。世界景気の先行きに敏感なこれらの銘柄は、現在の増益予想よりも、将来の景気後退リスクを市場が先読みしている結果かもしれません。割安さだけに目を奪われず、その裏にあるリスクを見極める力が今、問われています。
編集者の視点として、PERの低さは「掘り出し物」の証である一方で、市場からの「不信任案」である可能性も否定できません。特に電力や商社のように構造的な課題を抱えるセクターは、数字上の割安感に飛びつく前に、社会情勢や企業統治の動向を注視すべきです。慎重な銘柄選びこそが、混迷する2019年末の相場を勝ち抜く鍵となるでしょう。
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