2020年度からスタートする「大学入学共通テスト」が、今まさに大きな揺らぎを見せています。萩生田光一文部科学大臣は2019年12月06日の閣議後記者会見にて、議論の的となっている国語と数学の記述式問題について言及しました。受験生の間で広がる不安を早期に解消するため、年内には何らかの明確な方針を打ち出したいという考えを表明したのです。
記述式問題とは、従来のマークシート方式のように選択肢から選ぶのではなく、自分の言葉で解答を論理的に組み立てる形式を指します。受験生の「思考力」や「表現力」を多角的に評価する狙いがありますが、その実施には高い壁が立ちはだかっているのが現状でしょう。SNS上でも「採点が不透明すぎる」「人生がかかっているのに不公平だ」といった悲痛な叫びが相次いでいます。
特に深刻視されているのが、約50万人規模という膨大な受験者数に対する採点体制の不備です。約8,000人から1万人もの採点者を確保しなければならず、わずか20日間程度の短期間で、個々の解答に「採点のブレ」が生じないようにするのは至難の業だと言わざるを得ません。公平性が担保されない試験は、果たして公的な選抜試験と言えるのでしょうか。
自己採点の不一致が招く混乱と入試改革の岐路
さらに深刻な課題として浮上しているのが、受験生自身による「自己採点」の難しさです。2018年に実施された試行調査では、国語において自己採点と実際の得点が一致した割合が約7割にとどまるという衝撃的な結果が出ています。受験生は自己採点を基に出願先を決めるため、この不一致は進路選択を左右する致命的なリスクとなってしまうのです。
こうした事態を受け、2019年12月05日には公明党が延期を求める提言書を提出し、自民党内からも体制整備を急ぐよう求める声が強まっています。これに対し萩生田大臣は、改善を採点業者へ依頼しつつも、現時点では延期を決定していないと慎重な姿勢を崩していません。しかし、菅義偉官房長官も「受験生の安心が第一」と述べており、風向きは厳しくなっています。
文部科学省は2019年11月に英語民間試験の導入見送りを決めたばかりですが、もし記述式までもが見送りとなれば、入試改革の柱が相次いで崩壊することになります。私個人の意見としては、改革の理念は素晴らしいものの、準備不足な制度を強行して受験生を実験台にすることは許されないと感じます。教育の根幹を揺るがす重大な局面において、誠実な決断が待たれます。
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