お正月の時期に一時的な降雪があり、各地のスキー場からは安堵の声が聞こえてきました。しかし、ウインタースポーツファンにとっては気が気でない状況が続いています。気象データを紐解くと、この先も全体的に雪が少ない傾向が継続する見込みだからです。SNS上でも「せっかくのシーズンなのに滑れない」「雪不足で営業が心配」といった、ウインタースポーツを愛する人たちのリアルな嘆きの声が数多く投稿されています。
この異例とも言える暖かさは、大都市の真ん中でもはっきりと数字に表れていました。年末年始の東京都心は、オフィス街の電気が消えて交通量も激減するため、本来は都市特有の排熱が減って寒くなるはずの時期です。それにもかかわらず、2019年12月28日から2020年1月5日にかけて、東京の最低気温が平年を下回ったのはわずか2日間だけでした。マフラーがいらないほどの穏やかな気候に、驚いた方も多かったのではないでしょうか。
日本に厳しい冬の寒さをもたらす定番の「西高東低の気圧配置」ですが、今シーズンは残念ながら長続きする気配がありません。それどころか、次にやってくる低気圧は日本海側へと進む予想が出ています。まるで春の嵐を思わせるような強い南風を日本各地に吹き込ませるため、南からの温かい空気が日本列島を包み込む見通しです。そのため、少なくとも平野部では雪ではなく、雨が降る地域が多くなりそうです。
実は、この冬に雪が少なくて困っているのは日本だけではありません。海の向こうのアメリカでも、ロッキー山脈周辺や中西部の一部の地域をのぞけば、ほとんど雪が積もっていないのです。普段であれば、真冬のニューヨーク市では1ヶ月のうち1週間以上は雪景色になるのが当たり前と言えます。ところが、2020年1月初めの現時点において、積雪はほぼゼロという驚くべき異例の事態が報告されています。
寒気を閉じ込める「極渦」と「北極振動」の仕組み
世界規模で雪が降らない背景には、「極渦(きょくうず)」と呼ばれる気象現象が深く関係しています。これは北極の上空に居座る巨大な寒気の渦のことで、周囲を流れる強い西風にブロックされるようにして、北極付近に冷たい空気を溜め込んでいます。本来なら、この渦が形を崩して千切れるように南下してくることで日本に猛烈な寒波がやってくるのですが、現時点ではその兆候がまったく見られず、北極に閉じ込められたままなのです。
この現象は、北極とその周辺地域の気圧がシーソーのように変動する「北極振動」という動きと連動しています。北極振動の度合いを示す指数がプラスの時は、極渦のガードが固くなって寒気が北極から外へ漏れ出しません。アメリカ海洋大気局の予測によれば、2019年12月後半に一度マイナスになったものの、その後は再びプラスに転じました。少なくとも2020年1月中旬頃までは、この状態が維持される見込みです。
仮に極渦が崩れなかったとしても、中緯度の上空を流れる偏西風が蛇行して日本へと南下すれば、一時的に寒気が流れ込む可能性は残されています。ただ、その場合でも冷え込みは一時的なものにとどまり、大雪になるのはごく一部の地域に限定されそうです。地球規模の気流のいたずらによって、私たちが冬らしさを実感できる日はもう少し先になってしまうのかもしれません。
私個人の視点として、気候変動が叫ばれる昨今において、このような極端な少雪は単なる「今シーズンの珍現象」で済ませてはいけない重大なサインだと感じます。スキー場などの観光産業への打撃はもちろんですが、春先の雪解け水不足による農業への悪影響など、私たちの生活に直結するリスクをはらんでいるからです。目先の暖かさを喜ぶだけでなく、地球の悲鳴として危機感を持って注視していく必要があるでしょう。
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