2020年を迎え、通信・IT業界の未来を左右する大手企業の「トップ人事」に世間の熱い視線が集まっています。なかでも業界関係者の間で特に注目されているのが、長距離・国際通信やクラウド事業の核を担うNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の動向です。現在の日本の通信インフラを力強く支える中心的な存在だけに、リーダーが刷新されるか否かは今後の市場シェアにも莫大な影響を及ぼすでしょう。ビジネスの最前線を走る同社の決断に、多くのビジネスパーソンがハラハラしながら注目しています。
NTTコムを率いる庄司哲也社長は、2020年春の段階で在任期間が満5年を迎えます。実はNTTグループには、これまでの慣例として「社長の任期は2期4年」という暗黙のルールが存在してきました。さらにグループ内には入社年次を重んじる「年次主義」という、昔ながらの縦社会の文化が色濃く残っているのです。庄司氏は、親会社であるNTT持ち株会社の澤田純社長よりも1年先輩にあたるため、組織の若返りを図る意味でも、今期での退任が有力視されるのは自然な流れと言えます。
しかし、今回ばかりは一筋縄ではいかない大人の事情が絡んでいるようです。2020年の夏には、日本中が沸き立つ東京オリンピック・パラリンピックの開催が控えています。世界中から注目されるメガイベントにおいて、通信ネットワークの安定運用は絶対に失敗できない国家レベルのプロジェクトです。「大会を支える主要会社のトップを今動かすのはリスクが高すぎる」という慎重な意見も幹部から漏れており、これまでの慣例が覆る可能性も十分に考えられます。
この人事予測に対し、SNS上でも「五輪直前に通信インフラのトップを変えるのはさすがに危ないのでは」「いや、次世代の5G時代を見据えてスパッと若返りを図るべきだ」といった、相反する意見が飛び交い大論争となっています。時代の転換期だからこそ、安定を取るか、それとも変革を優先するかで世間の見方も真っ二つに割れている現状です。筆者の視点としては、グローバル競争が激化する今、五輪の成功はもちろん、その先を見据えた革新的なリーダーシップを維持できる布陣を期待したいところです。
一方、情報システムを構築するITベンダー(ITシステムやサービスの開発・販売を行う企業)の領域でも、長期政権の節目を迎えている大物がいます。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の菊地哲社長は、2020年6月で就任から丸8年という長い節目を迎えることになりました。システムインテグレーション業界の雄として、長きにわたり最前線で指揮を執ってきた菊地氏の去就は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の潮流にも直結するため、こちらも見逃せない重大な局面です。
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