日本のビジネス界において、今最も熱い視線が注がれているのが新興企業の存在です。一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが発表したデータによると、2019年7月から2019年9月までの期間における国内スタートアップへの投資額は、なんと585億8000万円に達しました。この驚異的な数字は、四半期ごとの調査を開始した2013年1月から2013年3月の期以降で、過去最高を塗り替える歴史的な快挙となっています。前年の同じ時期と比較すると投資額は106%も倍増しており、市場の熱気はとどまることを知りません。
SNS上でもこのニュースは大きな話題を集めており、「日本からもついに巨額の資金を得る企業が増えてきた」「若手起業家への追い風が凄い」といった前向きなコメントが相次いでいます。今回の急成長の背景にあるのは、1件あたりの投資規模が目に見えて大型化しているという事実です。例えば、企業向けの販促データ分析を手掛けるフロムスクラッチは、国内外の有力な投資機関などから総額100億円もの資金調達に成功しました。このように、将来性の高い企業へ資金が集中する傾向が強まっています。
IT分野が牽引する投資ブームと初期段階の企業への期待
ここで注目したいのが、どのような業種に資金が集まっているのかという点でしょう。今回の調査では、コンピューターやIT関連サービスが全体の約7割を占めており、現代のデジタル社会を象徴する結果となりました。次いで医療の未来を担うバイオ・製薬分野や、人々の生活に密着したメディア・消費財分野が続いています。テクノロジーを活用して既存の産業をアップデートする仕組み、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が、投資家から強い期待を寄せられている証拠だと言えます。
さらに興味深いのは、企業の成長段階を示す「成長ステージ」における変化です。今回のトレンドとして、創業間もない時期を指す「アーリーステージ」の企業への投資額が、前年の同じ時期と比べてほぼ倍増する勢いを見せました。投資全体に占める割合も5割を超えており、まだ荒削りながらも大きな可能性を秘めた若い組織に対して、世の中のマネーが積極的に投じられている様子が分かります。まさに日本の未来を担う原石を、社会全体で育てようとする熱意が数字に表れた形です。
一方で、起業前段階である「シードステージ」や、事業拡大期にあたる「エクスパンションステージ」への投資額は一時的に減少傾向にあります。これに対して私は、投資の目利きがより厳格になり、本当に成長が期待できる初期企業へ選択と集中が行われているシグナルだと捉えています。単なるバブル的な投資ブームではなく、日本の産業構造を根本から変革するような本物のスタートアップが、これから次々と誕生するインフラが整いつつあるのではないでしょうか。これからの若き挑戦者たちの動向から、目が離せそうにありません。
コメント