不動産市場のトップランナーである東京建物が、さらなる飛躍に向けて新たな一歩を踏み出します。2019年12月末までの5カ年における中期経営計画では、連結営業利益500億円という高い目標を見事にクリアする見込みとなりました。同社の野村均社長は、かつて「背伸びをしすぎだ」と周囲から批判されたことを振り返りつつも、目標達成への手応えを力強く語っています。特に東京都内の上野池之端や八重洲、目黒エリアで展開した超高層マンションの集中供給が、利益を大きく押し上げる原動力となりました。
SNS上でも「都心の利便性が高いタワマンは資産価値が落ちない」「東京建物の物件は立地が魅力的」と、そのブランド力に対する称賛の声が相多く寄せられています。オフィスビル事業においても、賃料の値上げや空室率の低下によって安定した利益を確保できました。2018年から2019年にかけては都内でビルの大量供給があり、既存ビルからテナントが抜ける「2次空室」の発生が心配されていましたが、実際にはその影響をほとんど受けることなく、極めて好調な推移を維持しています。
注目の2020年におけるマンション市場について、野村社長は都心のタワーマンション人気が今後も継続すると分析しています。適正な価格設定であれば確実に売れる環境が整っており、2019年に発売された山手線内側で最大級の規模を誇る「白金ザ・スカイ」も大きな注目を集めました。さらに地方都市でも、2021年3月に引渡予定の「ブリリアタワー西新」が、九州地方で過去最高水準の価格帯でありながら完売間近となっています。超低金利の継続や、高収入なパワーカップルの存在が市場を支えているようです。
東京駅前の再開発が完了する2025年ごろまでを見据えた次期経営計画では、商業施設やホテル、新規参入した物流施設の売却を進める方針です。さらに、同社が隠れた強みとして注力するのが駐車場事業になります。2019年9月30日時点で全国に約1700カ所を展開しており、業界3位のポジションをさらに強固なものにする構えです。筆者の視点としても、人口減少社会を見据えた場合、不動産開発だけでなく、駐車場のようなストック型のビジネスや仲介業務を拡大していく戦略は、極めて賢明かつ現実的な選択であると考えます。
一方で、東京建物にはビルや住宅に続く「第3の柱」の育成という大きな課題も残されています。これまで期待されていたサービス付き高齢者向け住宅(バリアフリー構造を備え、安否確認などのサービスが付いたシニア向け賃貸住宅)をはじめとする高齢者事業は、深刻な人手不足が原因で業績への貢献に時間を要しているのが現状です。堅調な本業に甘んじることなく、いかにしてこのシニア事業などを多角化の起爆剤にできるかが、同社が未来に向けて真の飛躍を遂げるための試金石となるでしょう。
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