内閣府が2020年01月14日に発表した2019年12月の景気ウォッチャー調査によると、私たちの生活に身近な「街角景気」を示す現状判断指数(DI)が、前月比で0.4ポイント上昇の39.8を記録しました。これで2カ月連続の改善となり、2019年10月に実施された消費税率引き上げによる大打撃から、ようやく日本経済が立ち直りつつある兆しが見えてきました。
ここで登場する「景気ウォッチャー調査」とは、タクシー運転手や小売店の店員など、街の経済の変化を肌で感じやすい職種の人々約2000人を対象にした、いわば経済の体温計です。SNS上でも「確かに増税直後の絶望感からは少しマシになった気がする」「年末の買い物客の足取りが戻ってきた」といった前向きな投稿が散見され、少しずつですが安堵の表情が広がっていることが伺えます。
実際に現場の声に耳を傾けると、南関東の百貨店担当者が「増税の影響から回復傾向にある」と語るなど、小売り現場には光が差し始めています。また、四国の乗用車販売担当者からも、11月上旬までの深刻な冷え込みから一転して客足が戻りつつあるという、嬉しい報告が届きました。内閣府も「増税の影響は和らいでいる」との公式見解を示しており、過度な悲観論は不要かもしれません。
しかし、楽観視できないのが現実というものです。今回の回復ペースは、前回の2014年の増税時と比べると明らかに足取りが重いと言わざるを得ません。2014年は増税直後に急落したものの、その後のリバウンドによる上昇力は強力でした。それに比べて今回は、11月が2.7ポイント、12月が0.4ポイントと、驚くほど小幅な上昇にとどまり、低水準から脱却できていないのです。
この鈍い動きの背景には、生活者の根強い節約志向があります。北海道の自動車備品販売店長が「ボーナス時期なのに売り上げの山ができなかった」と嘆くように、財布の紐は固いままです。また、暖冬という天候不順も追い打ちをかけ、中国地方のスーパーからは「気温が高く、鍋物用の白菜などが売れない」という悲鳴が上がっており、飲食関連の分野はむしろ冷え込んでいます。
一方で、暗雲を切り裂くような明るい兆しも存在します。それが、今夏に開催を控えた「東京五輪・パラリンピック」に向けた巨大な需要です。企業の景況感を示すDIは2.1ポイントも跳ね上がりました。北海道の家具製造業者からは公共施設の整備に伴う「特需」に沸く声が届いており、東京都の電気機械器具製造業者も、五輪関連施設向けの受注が順調に決まり始めていると明かしています。
このように、五輪というお祭り騒ぎに支えられた企業側の活気と、増税による生活防衛に走る家計側の冷ややかさとの間には、大きな温度差が存在しているのが現状です。私は、この「二極化」こそが現在の日本経済の本質であると考えます。イベント頼みの特需だけで終わらせず、いかに一般家庭の購買意欲を刺激し、本当の意味での好景気を循環させられるかが今後の大きな課題でしょう。
最後に、3カ月後の未来を見据えた「先行き判断DI」は0.3ポイント低下しており、現場のプロたちは依然として警戒を緩めていません。五輪後の反動減への不安や、実質賃金が上がらない中での生活苦が、人々の心理に影を落としているのでしょう。街角に本当の春が訪れるには、私たちが安心して暮らせるような、抜本的な所得向上と将来への安心感が不可欠なはずです。
コメント