日本ワインの新時代へ!長野県上田市「シャトー・メルシャン椀子ワイナリー」が紡ぐ地域共生と自然のストーリー

国産ブドウを100パーセント使用して国内で醸造される「日本ワイン」が、一時的な流行を超えて日々の食卓に定着しつつあります。そのような中で今、大きな注目を集めているのが、メルシャン株式会社が2019年9月にオープンした「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー」です。長野県上田市の小高い丘に位置するこの施設は、息をのむような美しいブドウ畑に囲まれています。SNS上でも「景色が最高でワインがさらに美味しく感じる」「醸造の裏側まで見られて感動した」といった声が溢れており、早くも多くのファンを魅了しているようです。

こちらのワイナリー最大の特徴は、ブドウの栽培からワインの醸造に至るまでの全工程を網羅して見学できる点にあります。敷地内には最新の醸造設備のほか、お気に入りの一杯を探せる試飲カウンターやワインショップも併設されているのです。ワイナリー長を務める小林弘憲氏は、雨が少なくて常に心地よい風が吹き抜けるこの土地が、ワイン用ブドウの育成に極めて適していると自信をのぞかせます。まさにワイン造りのすべてを五感で体感できる、特別な空間が広がっていると言えるでしょう。

メルシャンとこの土地の歩みは、2003年にまで遡ります。当時は養蚕(ようさん)のための桑畑だった場所が、時代の変化とともに使われなくなった「遊休地(ゆうきうち)」、いわゆる耕作放棄地となっていました。そこを同社が出資する農業生産法人が生かし、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの栽培を開始したのです。現在では約30ヘクタールもの広大な農地において、メルローをはじめとする8種類もの豊かなブドウ品種が大切に育てられており、その土地の個性を引き出すワインの原料となっています。

これまで同社は山梨県甲州市の勝沼ワイナリーを拠点としてきましたが、日本ワインの需要拡大に応えるため、2018年には長野県塩尻市に桔梗ケ原ワイナリーを、そして2019年にはこの椀子ワイナリーを新設しました。そんな新拠点が掲げる重要な柱の一つが、地域経済との共生です。キリングループは上田市と包括連携協定を締結しており、地域の市場であるマルシェや、ワインを観光資源とするワインツーリズムの拠点として、他社のワイナリーとも手を取り合いながら地域全体の活性化を目指しています。

さらに、失われつつある里山を再生し、豊かな自然環境を守る役割も担っている点が素晴らしいと感じます。適切な維持管理のおかげで、在来種であるニホンタンポポや多くの生き物が戻ってきており、生態系の保護にも貢献しているのです。収穫期には地域住民がボランティアとして参加するなど、環境意識を育む場にもなっています。また、2019年10月には地元の長野大学と連携し、講義や現場研修を通じて次世代の担い手を育てる取り組みも始まっており、産業の未来を見据えた素晴らしい循環が生まれています。

ワインは単なるお酒ではなく、料理の味を引き立てる食中酒であり、その土地の気候風土や造り手の物語が凝縮された芸術品です。新規参入が増える市場の中で、このように地域や自然、そして人と深く結びついたストーリーを発信し続けることは、日本ワインを一時的なブームから本物の「文化」へと昇華させるために不可欠な挑戦だと私は確信しています。上田市の美しい丘から発信される情熱的な試みが、日本のワイン産業をより豊かで魅力的なものへと変えていく未来が非常に楽しみでなりません。

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