社員のアイデアがボーナスに!株式会社井上が実践する「全員参加型経営」の全貌とSNSで話題のユニークな社内制度

会社の主役は社長ではなく、現場で働く社員一人ひとりであるべきだという理想を、見事に体現している企業が注目を集めています。京都府福知山市に拠点を構え、電気設備事業などを手広く展開する株式会社井上では、一風変わった取り組みが実施されているのです。それは、全従業員が会社や地域社会の発展に向けて自由に意見を発信できる「iデア提案活動」と呼ばれる制度になります。ボトムアップ型の組織作りを目指すこの試みは、多くのビジネスパーソンからも驚きの声を持って迎えられました。

この制度の最もユニークな特徴は、提案を提出するたびに「GJP(グッジョブポイント)」と呼ばれる独自の社内ポイントが付与される仕組みにあります。驚くべきことに、年2回の賞与支給のタイミングにおいて、1ポイントあたり500円に換算されてボーナスへと上乗せされる構造なのです。ネット上でも「自分のアイデアが直接お小遣いになるなんて最高」「モチベーションがこれ以上ないほど高まる」といった、羨望の眼差しを向けるSNSの投稿が相次いでいました。

一般的に、企業における「ボトムアップ」とは、現場の従業員から経営陣に対して意見や提案を吸い上げる管理手法を指します。株式会社井上では、提出された提案の採否や実際の成果に関わらず、書類を出した時点で確実に1ポイントがもらえる仕組みを構築しました。結果の良し悪しよりも、まずは新しいことに挑戦する姿勢そのものを高く評価しているからです。このような姿勢があるからこそ、誰もが萎縮することなく、気軽に声を上げられる心理的安全性が保たれているのでしょう。

集まる意見の内容は多種多様で、休日出勤の取り扱いに関する制度の見直しといった社内環境の整備から、営業所を地域の「子ども110番の家」に指定してほしいという社会貢献活動まで多岐にわたります。こうした熱意溢れる提案書には、井上大輔社長が必ずすべてに目を通すルールとなっております。予算不足などの特別なケースを除き、基本的には経営会議の議題としてしっかり諮られるため、自分の声が会社を動かしている実感を全員が持てるはずです。

現在の社長が就任したのは2003年のことで、当時のトップダウン経営、つまり経営陣がすべての意思決定を下して下部に命令する手法に疑問を抱いたことが変革の契機となりました。そこで「社員が幸せに働ける会社」の実現を掲げ、2010年に第2の創業を宣言したのです。その具体的な施策として、2014年度からこの画期的な活動がスタートしました。現在の社員数は約100人で、2018年度の売上高は約32億円という強固な経営基盤を誇っています。

これまでに積み上がった提案数は約3700件に達しており、中には1年間で466ポイントも稼ぎ出したエネルギッシュな社員も在籍しているほどです。これを金額に換算すると、なんと20万円以上ものボーナス加算になるため、現場の熱気が高まるのも頷けます。単なるお祭り騒ぎにとどまらず、実際の業務改善やコスト削減という確かな成果へと結びついている点が、この制度の素晴らしいところではないでしょうか。

例えば、電気設備資材の卸売り業務において、自社で配送する代わりに顧客が直接商品を引き取りに来てくれた際、缶ジュースをプレゼントするというユニークな提案が実行されました。この小さな工夫によって引き取りに来る顧客が増加し、結果として自社配送の件数が減ったため、会社全体の大きなコストカットに成功したのです。現場のちょっとした気づきが、経営をスマートに変える最高の手本だと言えます。

さらに2016年度には、社内サイト上でメンバー同士が感謝の気持ちを伝え合う「みんなのありがとう(通称:みんあり)」という心温まるツールも導入されました。きっかけは、顧客からのクレームだけでなく、社内に溢れる感謝の言葉も共有したいという現場の声だったそうです。「足りない在庫を別拠点のスタッフがすぐに届けてくれて助かった」という投稿から、実は特定の拠点における在庫配置に課題があるという事実も浮き彫りになりました。

社長はこれら2つの取り組みを通じて、組織の隅々まで状況が手に取るように把握できるようになったと深い手応えを口にしています。制度の開始当初、10年間で5000件の提案を集めるという高い目標が掲げられました。「人間も5000箇所を改善すれば全くの別人になれるように、会社も生まれ変わろう」という社長の熱い呼びかけが、見事に社内の文化として根付いた証拠です。これからの変化からも目が離せません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました