時代の変化とともに、私たちが目にする広告の姿も大きく様変わりしています。かつてはテレビCMが流行の最先端を走る王道でしたが、近年はSNSの普及によって、いかにネット上で口コミが広がり話題を集めるかが最重要視されるようになりました。実際に2018年の日本の広告費を見ても、インターネット広告費が地上波テレビ広告費に肉薄しており、2019年には両者の立場が逆転することが確実視されています。このようにメディアの主役が移り変わる激動の時代において、今まさに大きな注目を集めているのがJR東日本の冬の定番キャンペーンです。
1991年から展開されている「JR SKISKI」のCMは、長年にわたり多くの人々に愛されてきました。その基本構成は、男女のグループがスキー場へ出かけ、白い雪の世界の中で1組の男女に甘酸っぱい恋が芽生えるというストーリーです。毎年、主役を演じる若手キャストは交代するものの、驚くほどそのフォーマット自体は変わりません。この冬は、今をときめく浜辺美波さんと岡田健史さんが大学生役を熱演しており、ゲレンデという特別なシチュエーションの中で2人の「距離」が心理的にも物理的にもぐっと縮まる様子が描かれています。
今シーズンのキャッチコピーである「この雪は消えない」という言葉は、若者たちの純粋な想いを綺麗に表現していると感じます。SNS上でもこのCMは大きな反響を呼んでおり、「浜辺美波ちゃんが可愛すぎて胸が苦しい」「岡田健史くんとの組み合わせが爽やかすぎる」といったキャストへの絶賛の声が溢れました。さらに「このCMを見ると無性にゲレンデへ行きたくなる」「青春時代を思い出して甘酸っぱい気持ちになった」という投稿も相次いでおり、リアルタイムで視聴者の心を掴んでいる様子がネットの盛り上がりからも手に取るように伝わってきます。
広告業界では、ターゲット層の属性や行動データを分析して最適な媒体に広告を配信する「メディアプランニング」の重要性が叫ばれています。しかし、どれだけ技術や流行が変化しても、人間の根源にある「誰かを好きになる気持ち」や「旅先での出会い」という普遍的なテーマの価値は決して色褪せません。このCMが四半世紀以上も支持される理由は、まさにそこにあるのです。変化が激しく先の読めない時代だからこそ、私たちはあえて形を変えない定番の物語に、深い安心感と憧れを抱くのではないでしょうか。
私自身、この変わらないことの美学を貫くJR東日本の姿勢には強く共感いたします。最先端のマーケティング手法を追い求めるだけでなく、誰もが共感できる「ボーイ・ミーツ・ガール」の王道を真っ直ぐに描き続けるからこそ、世代を超えて人々の記憶に残り続けるのでしょう。デジタル化が進み人間関係が希薄になりがちな現代において、雪景色の中で育まれるぬくもりある恋物語は、私たちの冷えた心を温めてくれる最高のサプリメントです。この冬も多くの若者が、新幹線に乗って素敵な物語を紡ぎに出かけることを願ってやみません。
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