作家の嵐山光三郎さんが明かす、ユニークな新年の過ごし方が注目を集めています。かつて文豪の永井荷風は、東京・浅草寺のおみくじで手に入れた「大吉」を大切に持ち歩いていたそうです。浅草寺といえば、吉が出る確率が低いことで有名ですが、荷風は望む結果が出るまで何度も挑戦したと伝わっています。運を無理にでも手繰り寄せる力強い執念は、まさに巨匠ならではの流儀と言えるでしょう。嵐山さんもこのエピソードに深く共感し、自らの生活に取り入れているそうです。
おみくじに書かれた神仏からの言葉である「託宣(たくせん)」を比較すると、面白い事実が見えてきます。一般的に最も縁起が良いとされる「大吉」よりも、実は「中吉」や「小吉」のほうが、具体的で温かみのある助言が記されているケースが少なくありません。そこで嵐山さんは、願事・待人・失物の3つに焦点を当てた、オリジナルの「自家製おみくじ」を制作しました。大吉には「油断大敵」、凶には「気合いでひっぱれ」といった、ひねりの利いた文言が並びます。
この特別なおみくじを現金の3000円と一緒にぽち袋へ忍ばせ、お年玉として親戚の子どもたちに手渡したところ、大好評を博しました。さらにこのアイデアはSNS上でも拡散され、「こんな遊び心のある大人になりたい」「お年玉に個性が光っていて素敵すぎる」といった称賛の声が相次いでいます。自分でメッセージを考えるというクリエイティブな試みが、多くの人々の心を捉えたのでしょう。デジタル全盛の時代だからこそ、手書きの温もりが響くのかもしれません。
2020年1月11日現在、新年会や成人式といった華やかな集まりが続く中で、この試みは大人たちの間でも大きな話題となっています。嵐山さんは白地のご祝儀袋に「学問おみくじ」と記し、100円玉を同封した大人向けの特製おみくじも急遽用意しました。中吉には「SNSをやめて本を読め」と綴り、凶には「生涯一バカ」という、浪曲のフレーズを引用した大胆な一言を添えています。厳しい言葉の中に潜むユーモアが、現代人の心に深く刺さったようです。
驚くべきことに、最も不吉なはずの「凶」が一番の人気を集め、用意した100袋は一瞬で底を突きました。人間は時に、甘い言葉よりも本質を突いた手厳しい助言を求めるものなのかもしれません。他人の言葉に一喜一憂するのではなく、自ら運命の言葉を紡ぎ出して周囲と笑顔を共有する姿勢は、日常を豊かにする最高のスパイスです。嵐山さんは早くも春の集いに向けた新作の構想を練り始めており、次の展開への期待がさらに高まっています。
コメント