関西経済の玄関口から、少し気がかりなニュースが飛び込んできました。大阪税関が2020年1月23日に発表した2019年の近畿2府4県における貿易概況によると、輸出と輸入の双方が3年ぶりに前年を下回ったことが判明したのです。金額で見ると、輸出額は2018年と比べて5.1%減の16兆2674億円を記録しました。世界的な経済の冷え込みが、私たちの身近な地域にも影を落としているようです。
この落ち込みの背景には、世界を揺るがす「米中貿易摩擦」があります。これはアメリカと中国が互いに高い関税をかけ合って対立する現象で、世界経済のスピードを鈍らせる要因となっています。そのあおりを受け、近畿から中国への輸出は9.2%減の3兆9444億円にまで減少しました。さらに、エネルギー関連の価格が下がった影響などもあり、輸入についても4.6%減の14兆7197億円という結果にとどまっています。
中国向けの輸出を詳しく分析すると、最先端の技術分野が苦戦している模様です。液晶関連などの科学光学機器が18.6%減、通信機が50.2%減、そして半導体等製造装置が22.1%減となりました。スマートフォンやパソコンの頭脳となる半導体ですが、その製造現場で使われるウエハー(半導体の基盤となる薄い円盤)を洗浄する装置で世界トップを走るSCREENホールディングスも、この波に飲まれています。
同社は2019年4月から2019年9月期において、台湾の「ファウンドリー(半導体の製造を専門に受託する企業)」向けは順調だったものの、記憶媒体であるメモリー向けが減少しました。中国や韓国の需要減退が響いており、企業側も半導体市場の一時的な調整や米中摩擦が原因であると分析しています。SNS上でも「関西の誇る精密機械メーカーが苦戦するとは、事態は深刻だ」と不安視する声が上がっていました。
さらに、近隣諸国との外交問題も影を落としています。2019年7月に日本政府が半導体材料の輸出管理を厳格化したことで、日韓関係が悪化しました。これにより韓国への輸出は16.2%減の1兆918億円となり、こちらも3年ぶりのマイナスを記録しています。なかでも半導体等製造装置が50.4%減と半減したほか、規制対象のフッ化水素を含む無機化合物も46.8%減と大きく落ち込みました。
しかし、暗いニュースばかりではありません。足元では明るい兆しも見え始めています。フッ素化合物大手の森田化学工業が、2020年1月8日に韓国への高純度フッ化水素の輸出を約6カ月ぶりに再開したのです。また、近畿の輸出全体を見ても、苦戦が続いていた半導体関連が上向き始めており、2019年12月には半導体等製造装置が33.4%増、電子部品が3.3%増と、見事な回復を見せています。
専門家によると、この回復は次世代通信規格「5G」を巡る投資が台湾などで活発化しているためだといいます。ただ、2020年の見通しについては、米中摩擦や日韓関係の先行きが不透明なことから、減少傾向が続くという厳しい見方もあります。個人的には、目先の対立に惑わされず、5Gのような未来の技術革新への投資を官民一体で支え続けることこそが、関西経済の底力を復活させる鍵になるのではないかと感じています。
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