代替肉から空の旅、スマートトイレまで!全産業が「テック化」する未来の景色

世界最大級のデジタル技術見本市「CES」が2020年1月10日、米国ラスベガスで閉幕を迎えました。自動運転の電気自動車を披露したソニーなどが大きな注目を集める中、会場ではこれまでにない「異業種」の躍進が目立っています。食品や航空、さらには住宅設備にいたるまで、あらゆる企業が最先端のデジタル技術をビジネスの核として取り入れ始めているのです。

自動車部品が並ぶエリアでひときわ人だかりを作っていたのが、植物由来の代替肉を手掛ける米インポッシブル・フーズのブースでした。彼らが提供した「豚ひき肉風の肉団子」は、材料を分子単位で解析してリアルな食感を再現したものです。SNSでも「言われなければ本物の肉と区別がつかない」「未来の食卓がここにある」と、驚きの声が続々と上がっていました。

また、米デルタ航空が披露した「パラレルリアリティー」という新技術も来場者を驚かせています。これは複数の人が同時に同じ画面を見ても、各自の視点に合わせて異なる情報が表示される画期的なシステムです。日本人の私が見れば日本語の案内が映り、隣の米国人には英語が表示される仕組みで、2020年中にはデトロイトの空港で実証実験が始まる計画となっています。

日本勢では、住宅設備メーカーのTOTOがユニークな「移動式スマートトイレ」を出展して異彩を放っていました。スマートフォンアプリと連動し、イベントなどで混雑するエリアへ機動的にトイレを配置するサービスです。さらにスポーツブランドのアシックスも、靴の中にセンサーを内蔵して走り方をデータ化するスマートシューズを2020年に発売すると発表しました。

こうした非IT企業がデジタル見本市で存在感を示す背景には、革新的な技術を持つスタートアップ(創業間もない新興企業)との協業があります。独自のアイデアを持つ若い企業と、資金や基盤を持つ大企業が手を組むことで、従来の産業に劇的な変化が起きているのです。すべての企業が「テック企業」としての顔を持つ時代が、まさに到来していると言えるでしょう。

一編集者として私は、この変化を単なるトレンドではなく「産業の再定義」だと捉えています。これからの企業は、自社の専門分野を守るだけでは生き残れません。テクノロジーという共通言語を使い、いかに生活者の体験を豊かにできるかが勝負の分かれ目となります。異業種の壁を越えた驚きのイノベーションから、今後も目が離せそうにありません。

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