無国籍の恐怖から日本が救った手。東京高裁がジョージア出身のアルメニア系男性を難民認定した歴史的判決の全貌

激動の歴史に翻弄され、自らの帰るべき場所を失ってしまった一人の男性に、日本の司法が救いの手を差し伸べました。1991年12月26日のソビエト連邦崩壊という大事件に伴い、どの国にも属さない「無国籍」になってしまったジョージア生まれの52歳の男性が、日本政府に難民認定を求めていた裁判の控訴審判決が、2020年1月30日までに出されました。東京高等裁判所は、これまで難民と認めてこなかった国の処分を「違法」と言い渡し、劇的な大逆転劇を収めたのです。

この画期的な判決を下した野山宏裁判長は、男性が過去にジョージアで受けた民族差別による迫害の恐怖について、今なお生々しく継続していると鋭く指摘しました。そもそも「難民」とは、人種や宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由に、迫害を受ける十分な恐れがあるために自国の外にいる人のことを指します。今回の裁判では、男性が故郷へ戻ることを望んでいない現状を鑑みても、まさにその定義に該当すると司法が正式に認めた形となりました。

さらに裁判所は、国が男性に対して出していた退去強制命令までも無効であると判断を下しています。彼がどの国のパスポートも持たない無国籍者であり、現状で受け入れてくれる国が世界中のどこにも見当たらないという冷酷な現実を重く受け止めた結果です。もしこのまま日本から追い出してしまえば、文字通り地球上で行き場を失ってしまうことは火を見るより明らかであると、人道的な観点から国の姿勢を強く戒めました。一審の東京地方裁判所では請求が全面的に退けられていただけに、喜びもひとしおです。

この男性は少数派のアルメニア民族であり、ソ連崩壊後にジョージア政府が推し進めた過激な政策によって生活基盤を根底から破壊され、命の危機にさらされるほどの凄惨な迫害を経験しました。国を追われた彼は、2010年5月に日本へ入国するまで、新たな国籍を求めてヨーロッパ各国を転々とする過酷な放浪の旅を続けていたのです。SNS上では「本当に良かった」「世界には私たちが想像もできない苦しみがある、日本の司法が人権を守ってくれて誇らしい」といった感動と安堵の声が次々と寄せられています。

勝訴の判決を受け、男性は記者会見の場で「気が遠くなるような長い苦しみがようやく終わった」と、大粒の涙をにじませながら安堵の表情を浮かべました。これからは自分の将来について前を向いて考えられますし、日本で堂々と働き、病気になれば医療を受けたいと、ささやかながらも切実な夢を語る姿が印象的です。難民の受け入れに極めて消極的だと国際社会から批判されがちな日本ですが、今回の東京高裁の決断は、人間としての尊厳を守るための極めて大きな一歩であり、今後もこうした柔軟な救済が広がるべきだと強く感じます。

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