3Dプリンターの常識を覆す!JX金属が開発した「次世代の純銅粉」が切り拓くものづくりの未来

ものづくりの世界に革新をもたらす3Dプリンターですが、これまで素材としての「銅」は非常に扱いづらいとされてきました。しかし、JX金属株式会社がその常識を打ち破る画期的な銅粉の開発に成功したのです。2020年01月30日、同社は細かな形状の部品を自在に造形できる新しい銅粉を発表しました。SNS上でも「これまでの加工限界を超える技術だ」「日本の素材開発力はやはり凄まじい」と、製造業の関係者を中心に大きな期待が寄せられています。

そもそも3Dプリンターとは、設計データをベースにして樹脂や金属の微細な粉末を幾重にも積み重ね、立体的なオブジェクトを作り出す最先端の装置です。従来の金属造形では、材料となる粉末を100万分の1メートル単位である「マイクロメートル」という極めて薄い層で敷き詰め、そこにレーザーや電子ビームを照射して焼き固めていきます。この方法を使えば、高額な金型を作ることなく、複雑なデザインのパーツを短時間で製造できるのが最大のメリットです。

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酸化を防ぐ特殊加工でこれまでにない超微細な造形が可能に

しかし、従来の銅粉には「加熱すると粉同士が予期せぬ場所でくっついてしまう」という致命的な弱点が存在しました。銅は空気中の酸素と結びついて表面に「酸化膜」が形成されやすく、これが原因でプリンターの内部で静電気を帯びた粉末が舞い散り、造形を阻害していたのです。このトラブルを避けるために、これまではマンガンなどの異素材を混ぜ合わせた合金が主流でした。しかし純粋な銅ではないため、銅が本来持つ優れた性質をフルに活かせない課題があったのです。

そこでJX金属は、粉末の表面に独自の特殊な処理を施すアプローチを選択しました。これにより、電子ビームを照射する前の予備加熱の段階でも、粉末が不要に固着する事態を完全に防ぐことに成功したのです。粉同士の不要な結合がなくなった結果、従来は削り出すことが不可能だった製品内部の複雑な空洞構造も、設計通りに美しく再現できるようになりました。合金ではなく単一の金属として扱えるため、完成した造形物の品質も極めて安定します。

さらに驚くべきは、その圧倒的な密度にあります。電子ビーム方式のプリンターを用いて造形した際、なんと99.94%という極限に近い密度を記録しました。内部の目に見えない隙間が徹底的に排除されたことで、製品としての強度や耐久性も飛躍的に向上しています。私は、この技術こそが日本の素材産業の底力を象徴するものだと確信しています。微細な課題を一つずつクリアしていく地道な研究開発が、世界の産業基盤を支えるイノベーションを生むのです。

2030年に向けて急拡大する金属3Dプリンター市場の覇者へ

この新素材が活躍するフィールドは無限に広がっています。同社は3年後を目処とした実用化を目指しており、スマートフォンやパソコンの頭脳である半導体から発生する熱を逃がす放熱部品、さらには電気自動車の冷却ユニットなど、最先端の産業への導入を狙っています。現在は航空宇宙分野で使われるチタン製の粉末が市場の主流ですが、これからは電気を非常に通しやすい導電性に優れた銅粉の需要が急拡大していくことは間違いありません。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算によると、3Dプリンター向けの金属粉市場は2030年までに、2016年比で約45倍となる5000億円以上の規模へ大化けすると予測されています。JX金属はすでにイギリスの有望なスタートアップ企業への出資を決め、レーザーの効率的な照射方法も含めた総合的な提案を開始する方針です。単なる材料の販売にとどまらず、活用法までセットで世界へ仕掛ける同社の戦略から目が離せません。

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