2020年01月30日、ビジネス界に大きな激震が走りました。経済のデジタル化やグローバル化が急速に進む中、2020年の春季労使交渉がいよいよ本格化します。時代に即した新しい雇用や賃金の仕組みを、労使双方が手を取り合って構築できるのかが今まさに問われているのです。現在の世界経済を見渡すと、海外市場の停滞などから先行きへの不透明感が強まっており、企業の収益環境も厳しい局面を迎えています。
こうした激動の時代背景を受け、経団連が打ち出した「日本型雇用制度の見直し」に対し、労働組合の中央組織である連合などからは慎重な声が上がっています。SNS上でも「これまでの安定が壊れてしまうのではないか」「終身雇用がなくなるのは不安だ」といった、働く人々のリアルな困惑や懸念の声が数多く見受けられました。人々の関心が極めて高いテーマであることが伺えます。
しかし、経団連の経営労働政策特別委員長を務める大橋徹二氏は、単に伝統を破壊しようとしているわけではありません。大橋氏は、若者の高い雇用率を維持できる点や、組織への高い帰属意識を育める点など、これまでの日本型雇用が持っていた優れたメリットをしっかりと認めています。その上で、業界の枠組みそのものが変革する現代では、年功序列をベースにした一画一的な仕組みだけでは限界があると指摘しているのです。
再教育で守る雇用とジョブ型の融合
そこで浮上したキーワードが、職務や役割を明確にして契約を結ぶ「ジョブ型雇用」の拡充です。ここで言うジョブ型雇用とは、従業員が特定の専門スキルを活かして明確に定義された仕事を担当する働き方を指します。大橋氏は、職務がなくなれば即座に解雇されるような冷酷な欧米流のシステムをそのまま導入するつもりはないと強調しました。
企業が従業員へリスキリング(再教育)を施すことで、雇用を継続して守り抜く姿勢こそが最も重要だというのです。従来の日本型雇用の良さをベースに残しながら、必要な部分にジョブ型を組み合わせていくハイブリッドな視点が求められています。それぞれの企業が労使での徹底的な対話を通じて、自社にとって最適な黄金比率を模索していくべきでしょう。
現状の課題として、日本にはまだ転職を前提としたシームレスな労働市場が十分に成熟していません。この未整備な環境が原因となり、大学を卒業したばかりの優秀なIT人材や若きトップランナーたちが、より好条件を求めて海外へ流出してしまうという深刻な機会損失も招いています。プロフェッショナルとして生きる人々が輝ける市場と適切な評価基準の確立が急務です。
通年議論が生み出すこれからの賃上げトレンド
大橋氏は、このドラスティックな雇用改革がわずか1カ月程度の春季交渉だけで解決する性質のものではないと語ります。今回の提案をひとつの引き金(トリガー)として、労使が1年を通じてじっくりと腰を据えて議論し続けることへの期待を込めていました。単なる賃金交渉の場を超えて、生き残り戦略を語る場へとシフトしている印象を受けます。
気になる2020年の賃上げの動向ですが、これまで続いた2%超の基準をキープできるかは予断を許しません。現在の企業業績は、好調な内需型企業がある一方で、海外情勢の影響をダイレクトに受ける輸出産業や製造業では厳しさが増しており、明暗が分かれています。大橋氏は、経営側に対して「賃上げの勢いを止めない」という強い意思を持って対話に臨んでほしいと呼びかけました。
編集部としては、この改革を単なる雇用の流動化と捉えるのではなく、働く側にとっても「自律的なキャリア形成」を進める絶好のチャンスだと考えています。会社に依存する時代から、個人のスキルで勝負する時代への転換期が到来したと言えるでしょう。今こそ企業側は、社員が学び直せる環境へ積極的に投資し、エンゲージメントを高める努力を怠ってはなりません。
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