ジェネリック医薬品(後発医薬品)の製造で知られるダイトが、市場の成熟を見据えた大胆な方向転換を進めています。政府の後押しもあり、2020年9月までに後発薬の使用率を80%に引き上げる目標が現実味を帯びる中、同社は早くも「その先」の生き残り戦略に舵を切りました。多くの競合がバイオ医薬品の後続品である「バイオシミラー」へ参入する中、ダイトはあえてこの分野から距離を置くという独自の決断を下したのです。
SNSではこの方針に対し、「他社と違う道を進む勝負強さが面白い」「ニッチな強みを活かす堅実な戦略」といった期待の声が寄せられています。大津賀保信社長が「バイオシミラーには手を出さない」と断言する背景には、緻密なコスト計算が存在します。バイオシミラーは開発に50億円もの巨費を要すると言われますが、ダイトが注力する「高薬理活性物質」を含む抗がん剤であれば、開発費を3億円程度に抑えられ、確実に利益を生み出せる構造が作れるためです。
ここで注目される「高薬理活性製剤」とは、ごくわずかな量でも体内で非常に強い効果を発揮する医薬品を指します。ダイトは2014年以降、この特性を持つ抗がん剤やリウマチ薬の生産体制を急速に整えてきました。現在も20億円を投じて製造ラインの増設を進めており、生産能力を従来の2倍に引き上げる計画です。この新しい設備は2021年2月に稼働を開始し、日本国内向けの出荷が順次スタートする予定となっています。
また、同社は少子高齢化に伴って市場拡大が見込まれる健康食品分野の立て直しにも着手しています。2019年6月から2019年11月期までの連結決算では、売上高と純利益が過去最高を記録したものの、健康食品部門は前年同期比で9.5%減の1億3800万円と苦戦を強いられました。医薬品メーカーとの取引(BtoB)を主軸としてきた同社にとって、一般消費者向けの販売ノウハウが不足している点は否めない事実でしょう。
しかし、国民の健康への関心が高まる現代において、この分野を放置する手はありません。他社との提携を視野に入れつつ、早期の事業拡大を目指す姿勢は極めて現実的で賢明な判断だと感じます。これまでの成功体験に安住せず、自社の強みと弱みを冷静に分析して次の一手を打つダイトの柔軟な姿勢には、多くの企業が学ぶべきビジネスのヒントが隠されているのではないでしょうか。独自路線の成否から、今後も目が離せません。
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