企業の成長において、従業員の能力を最大限に引き出すタレントマネジメントの重要性が高まっています。理想の組織像と現状のギャップを埋めるためには、効果的な人材育成が欠かせません。しかし、多くの企業が多様なプログラムを提供している一方で、誰が何を学び、それが現場でどう生かされているのかを把握しきれていないのが実情でしょう。
SNS上でも「せっかく研修を受けたのに実務で全く活用できていない」「会社は受講を促すだけでその後のフォローがない」といったビジネスパーソンからの切実な声が頻繁に見受けられます。こうした「研修のやりっ放し」状態は、企業にとっても従業員にとっても非常に大きな損失を生み出していると言わざるを得ません。
TMSを活用したデータ主導の人材管理
この根深い課題を解決する鍵となるのが、タレントマネジメントシステム(TMS)の積極的な活用です。TMSとは、従業員のスキルや経験、評価などの人事情報を一元管理し、最適な配置や育成に役立てるためのITツールのことを指します。このシステムに研修関連のデータを詳細に記録していくことが、改革の第一歩となるのです。
具体的には、過去の受講履歴だけでなく、研修後に獲得したスキルレベルや実際の業務パフォーマンス、上司からの評価などを紐づけて記録します。これにより、どのプログラムが実際に成果へ結びついているのかを可視化できるようになります。全社的な視点でデータを分析すれば、次に打つべき有効な育成施策も自然と見えてくるはずです。
カークパトリック・モデルとLMSの融合
研修の成果を測る上で知っておくべき指標に「カークパトリックの4段階評価法」が存在します。特に注目したいのが、学んだ知識を実際の業務で活用できているかを測るレベル3の「行動変容」という項目です。知識を頭で理解するだけでなく、現場で実践し、自ら振り返りを行って次の挑戦へ繋げるサイクルが何よりも重要視されています。
この行動変容を促す強力なサポーターとなるのが、ラーニングマネジメントシステム(LMS)の導入です。LMSは、インターネット上で学習教材の配信や受講状況の管理を行うシステムの略称です。単にeラーニングを提供するだけでなく、受講後の理解度テストやアンケート機能を通じて、個人のスキル定着度を細かく確認する役割を担います。
現場でスキルが実践できているかをLMS上で定期的に振り返ることで、必要に応じた再学習の提案や、より高度なプログラムへのステップアップを適切に促すことが可能になります。このように、個々の習熟度に寄り添ったきめ細やかなフォローアップ体制を構築することは、現代の多様な働き方において極めて有効なアプローチだと言えるでしょう。
システム連携が切り拓く人材育成の未来
パーソル総合研究所のコンサルタントである国弘真治氏が指摘するように、TMSとLMSを連携させることが今後の人材育成の肝となります。2020年2月4日現在、両者を紐づけて学習データを蓄積し、個人の目標に最適なコンテンツを自動的に推奨するような、効率的かつ高度な育成インフラの構築が急務となっているのです。
一人のメディア編集者としての考えですが、もはや「研修を実施すること」自体を目的化している企業は、今後の競争から淘汰されていくと危惧しています。システムを賢く連携させ、一人ひとりの成長をデータで客観的に支援し続ける仕組みこそが、組織の強靭さを左右する絶対的な基盤になるはずです。理想の組織像へ向けて、今こそ育成のあり方を根本から見直してみてはいかがでしょうか。
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