激動のビジネス界において、企業が生き残るための「人財」の在り方が今、激しく問われています。人材の才能を最大限に引き出して適正配置や育成を行う「タレントマネジメント」という手法が注目を集める中、日本企業が抱える生々しい課題が浮き彫りになりました。パーソル総合研究所が実施した「タレントマネジメント実態調査」の結果は、今後の組織運営を揺るがす大きなヒントを示しているのです。
この調査で人事部門の管理職に課題を尋ねたところ、最も多かった回答が「人事戦略が経営戦略にひもづいていない」というもので、33.7%に達しました。次いで「組織的な意思決定に時間がかかる」が26.0%、「詳細な人事データを活用できるほど人事制度に柔軟性がない」が25.0%と続きます。同様に経営企画部門でも、経営戦略との乖離を訴える声が38.7%と最多になり、上位には同じ項目が並びました。
SNS上でもこの結果に対して、「うちの会社そのままで耳が痛い」「社長のビジョンと人事評価が完全にバラバラ」といった共感の声が相次いでいます。多くのビジネスパーソンが、現場でこの「ちぐはぐ感」にストレスを感じている様子がリアルに伝わってきます。経営の目指す方向性と、実際の組織作りや評価の仕組みが完全に切り離されてしまっているのが、現代の日本企業が直面する大きな壁と言えるでしょう。
こうした状況を打破する動きとして、2020年01月15日現在、優秀な新卒社員に対して破格の年俸1000万円を提示するような思い切った事例が世間を賑わせています。これは従来の横並びな雇用慣行を打ち破り、経営戦略に直結する重要な人材を何としても獲得しようとする、まさにタレントマネジメントを体現した先進的な取り組みです。周囲とのバランスを気にしがちな日本企業において、非常にドラスティックな変化です。
しかし、このような大胆な制度を実際に運用するには、人事が「この人物にはそれだけの価値がある」と確信を持てなければ成り立ちません。前述の調査にある「意思決定の遅さ」や「制度の柔軟性の欠如」は、まさにこうした革新的なチャレンジを前に躊躇してしまう組織の体質を表しています。いくらデータで優秀な人材を見極めても、受け入れる器である人事制度が硬直化していては、その才能を活かすことは不可能です。
私は、これからの時代を勝ち抜くためには、人事を経営の「最高のお供」として再定義すべきだと確信しています。これまでの日本型雇用のような前例踏襲のボトムアップ方式では、もはや時代のスピードに追いつけません。経営トップ自らが強い覚悟を持ってコミットし、経営ビジョンと人事制度を直結させるトップダウンの改革こそが、優秀な個人の才能を輝かせ、企業の未来を切り拓く唯一の道となるはずです。
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