地方銀行のビジネスモデル激変?中部地銀8行の決算から見る超低金利時代の生き残り戦略と今後の課題

中部3県に本店を構える地方銀行8行の、2019年4月から2019年12月期までの決算が2020年2月7日に出そろいました。企業の稼ぐ力を示す「実質業務純益」は、システム投資に費用が膨らんだ三重銀行以外の7行が増益を記録しています。一見すると好調な業績に見えますが、その舞台裏を探ると地銀が直面している厳しい現実が浮かび上がってきました。SNS上でも「本業以外の利益で支えている状態はいつまで続くのか」と、今後の動向を不安視する声が上がっています。

銀行の本業とは、私たちから預かったお金を企業や個人に貸し出し、その利息を受け取るビジネスです。しかし、今回の決算ではその柱となる利息収入(資金利益)が8行中6行で減少してしまいました。日本銀行が続ける歴史的なマイナス金利政策や、限られた顧客を奪い合う激しい競争が背景にあります。「貸出金利の低下に歯止めがかからない」と悲鳴を上げる経営陣もおり、従来のビジネスモデルだけでは立ち行かない現状が浮き彫りになりました。

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有価証券の売却と手数料ビジネスが救世主に

本業の苦戦をカバーしたのが、国債や外国債券などを売買して得た「有価証券売却益」です。8行の合計利益は64億円に達し、前年同期の赤字から劇的な回復を遂げました。まさに資産運用頼みの決算と言えるでしょう。これに対しネット空間では「運用の神頼みでは、世界情勢の悪化で一気に赤字に転落しかねない」という、運用のリスクを危惧する指摘も相次いでいます。債券市場の動きに左右される利益は、決して安定した収益源とは言い切れません。

もう一つの防衛策が、顧客から得る手数料ビジネスの強化です。企業同士をマッチングする仲介業務や、特定の投資家向けに発行する「私募債」の手続きなどで、6行が手数料収入を伸ばしました。専門的なノウハウを活用して稼ぐこの仕組みは、利息に代わる新たな収益源として期待されています。ただし、全体の利益を牽引するほどの規模には育っておらず、安定経営に向けた構造改革はまだ発展途上であるというのが編集部としての冷静な見方です。

忍び寄る新たなリスクと今後の展望

さらに懸念されるのが、融資先の倒産や業績悪化に備えて積み立てる「与信関連費用」の急増です。8行の合計で前年同期から9割以上も増えており、経営の先行きに不透明感が漂い始めました。現時点では各行とも想定の範囲内と説明していますが、2020年初頭から世界を揺るがしている新型コロナウイルスの感染拡大が、今後の大きな不確定要素になるでしょう。部品の調達網が麻痺すれば、ものづくりが盛んな中部地方の企業に深刻な打撃を与えかねません。

愛知銀行は2020年1月下旬から全取引先への聞き取り調査に乗り出しており、十六銀行なども情報収集を急いでいます。激動の時代において、地銀には単にお金を貸すだけでなく、企業の危機の芽を素早く摘み取る経営支援の能力が求められているのではないでしょうか。有価証券の運用で急場をしのぎつつ、地域経済のセーフティーネットとしてどう機能していくか、中部地銀の真の知恵と手腕が試される局面を迎えています。

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